個人再生で滞納した住宅ローンはどうなる?
2021.08.14 更新
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目次
個人再生では滞納した税金の返済は免除されない
個人再生とは、借金の一部を裁判所に免除してもらい、返済負担を軽減するのが目的の手続きです。
減額率はおおよそ借金総額の5分の1~10分の1程度で、借金総額によって減額率は異なるものの、任意整理より減額することも可能です。
任意整理では、遅延損害金や将来利息のカットは可能であっても、借金そのもの(借入元金)までは減額されないのが通常の取り扱いです。
こうした点からも、個人再生は手続きの利用条件を満たし、手続きのデメリットを受け入れることができれば、借金を減らせる可能性のある手続きとなっています。
しかし注意しなければならない点があります。 個人再生は、税金の滞納分に関しては減額されることはないという点です。
よって、個人再生を利用する、利用を検討しているという方は、税金の支払いを優先して行うようにしてください。 どうしても税金の支払いが難しい場合は、その税金の徴収を取り扱っている機関に相談し、分割納付に切り替えてもらうことをおすすめします。
そのまま滞納していると、「滞納処分」といって強制的に回収されてしまう恐れがあるのです。 滞納処分は、通常は裁判所を経由しなければならない差押え(強制執行といいます)と違って、公的機関が行うことが可能となっています。
こういった事態に巻き込まれないためにも、税金の滞納は早々に解消し、すぐに支払いができない場合は、上述した分割納付によって支払う意思を示しておくようにしましょう。
滞納処分される理由の多くは、支払いしないまま催促すらも放置している場合に行われます。
正直に支払いが苦しい状態にあること、借金は個人再生によって解決を図っていることなどを伝えましょう
このように税金の滞納は、個人再生などの債務整理とは別の方法にて解決を図っていく必要があります。
個人再生による支払いや、専門家への費用の支払いなど、毎月の支出を総合的に考慮して、いくらまでなら税金の支払いに充てられるか計算してみてください。
個人再生する際にローンを滞納していると財産は手元に残せる?
では、個人再生をする際、住宅ローンや車のローンを滞納している場合はどうでしょう?
滞納した住宅ローンは家を残しながら返済できる
個人再生では「住宅ローン特則」というものがあります。 住宅ローンを支払うことを条件に、家を失わずに借金を減額することもできるのです。
なお、住宅ローン特則には、以下のような利用条件が定められています。
- 住宅ローンとしての借入であること
- 個人再生を利用する方が所有している住宅であること
- 個人再生を利用する方が住んでいる住宅であること
- 床面積の2分の1以上が居住用スペースであること
これらの条件を満たしていれば、住宅ローン特則が利用できます。
稀に利用できないケースとして、住宅を担保に他の貸し付けがある場合や、住宅ローンが夫婦や親子のペアローンになっている場合があります。
こうしたケースは多少特殊なため、解決には別の方法が必要です。
車のローンを滞納していると自動車は手元に残せない
次に、車のローンを滞納している場合です。
車のローンでは住宅とは異なり、特則は用意されていません。
よって、個人再生では車を手元に残すことはできません。
車のローンというのは、キャッシングなどの借入などとは違って、「所有権留保」されている契約がほとんどです。所有権留保とは、ローンの支払いがすべて終わるまで、所有権はローン会社側が持っているという制度です。
つまり、車のローンは使用者が自身であっても、完済しない限りは所有権を保有することができません。
こうした状況でローンの支払いができないとなれば、当然、車は引き上げられてしまうというわけです。
なお、引き上げられた車は時価にて売却され、売却代金が車のローンに充てられることで清算されます。
そして、それでも残ったローンが個人再生における減額の対象になります。
とはいえ、ローンをすでに完済している場合であれば、個人再生では手元に残しておくことが可能です。 個人再生は自己破産と違って、一定以上の価値がある財産であっても、自身が保有しているのであれば手元に残しておくことができるのです。 これはまさに個人再生のメリットの1つと言えるでしょう。
個人再生を始めた後に滞納した場合の対処法
では、個人再生後に支払いを滞納してしまった場合、どうなってしまうのでしょうか?
滞納するようになっても返済期間を最大7年まで延長できる
個人再生は、原則3年間で減額された借金を完済する手続きです。
しかし、どうしても支払いが厳しい場合、手続きの途中であっても2年間の延長が可能となっています。
さらに、手続きを始める段階から支払いが不安な場合、3年間の返済を5年間に切り替えることも可能です。
この場合も途中からの2年間の延長ができるため、個人再生は最大で7年間まで延長できるのです。
しかし、必ずしも延長が認められるわけではなく、相応の理由が必要となっています。
たとえば、過剰なギャンブルやショッピングといった不誠実な理由で返済が厳しくなった場合、延長は認められないこともあります。
一方で、例えば以下のようなケースでは延長を認められることもあります。
- 会社をリストラされた
- 自身の病気で収入が著しく減ってしまった
- 家族の病気により医療費負担が増えてしまった
収入がなく返済が難しくなればハードシップ免責を検討しよう
まったく収入がなくなってしまえば、個人再生自体を継続させることができなくなってしまいます。
この場合は、自己破産に方針を切り替えるなどの方法で対処しなければなりません。
ただし、もともと住宅ローン特則を利用していた場合、自己破産では自宅を守ることはできないため、方針を切り替えるのであれば自宅を失うことになる覚悟が必要です。
一時的に収入がなかったとしても、家族に立て替えてもらうなどの方法で自己破産になることを防ぐことはできますが、あまり現実的ではない選択肢です。
こういった場合、「ハードシップ免責」の利用が可能かどうか検討する方法もあります。
ハードシップ免責とは、以下のような場合に利用可能な手続きで、残りの借金を全て免除されます。
- 再生計画による支払いの4分の3が終わっている
- 返済困難になった理由が本人のせいでない
- 返済期間を延長しても支払い困難である
少し条件は厳しくなっていますが、自己破産に切り替えるくらいであれば、ハードシップ免責の可能性を模索してみる価値もあるといえます。
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2017.11.23 公開