個人再生すると保証人へ一括請求が!極力迷惑をかけない方法
2022.02.03 更新
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この記事のポイント
借金をした人が個人再生をすると、保証人が残額を支払う必要があります。 ですが、保証人も債務整理をするなどの方法で影響を最小限に抑えられるかもしれません。 また、弁護士に相談をすることで、個人再生以外にも「あなたに合った方法」を提案してくれる場合があります。 弁護士に相談をしてみることも検討しましょう。
目次
個人再生を本人がしても、保証人(連帯保証人)が残った借金を支払う
借⾦がかさんで返済が苦しくなったら、個⼈再⽣などの債務整理をすることも一つの方法です。
でも、保証⼈がいる場合に個⼈再⽣すると、保証⼈にどのような影響があるのかについてはあまり知らないので、知りたいです。
そうですね。
個人再生を検討しているけれど、保証人に迷惑がかかってしまうのではないかと不安に思って、一歩が踏み出せない人もいると思います。
そこで今回は、そもそも個人再生がどういった手続きなのか、そして保証人にどのような影響があるかについて解説します。
個人再生をすれば、債務額を最大で5分の1に減らせる
個人再生で借金額を大きく減額できることがある
個人再生とは、裁判所に申し立てをして借金の返済額を大幅に減額してもらい、その減額してもらった借金を原則3年の間に債権者に対して支払っていく手続きのことです。
この手続き後の返済を完了すれば、残りの借金返済義務はなくなります。
個人再生には、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)があります。
これを利用すると、住宅ローンだけはそのまま支払いを続けて、ほかの借金を大きく減額してもらうことが可能です。
このことによって、家を守ったままほかの借金だけを整理します。
個人再生による借金減額幅は、以下の通りです。
個人再生による借金減額幅について
借金額 | 減額幅 |
---|---|
100万円未満 | 減額されない |
500万円未満 | 100万円まで |
500万円以上1500万円未満 | 最大5分の1まで |
1500万円以上3000万円未満 | 300万円 |
3000万円以上5000万円以下 | 最大10分の1まで |
個人再生をすると、このように大幅に借金を減額できることがあり、その後の支払いがとても楽になります。
大きな借金があって任意整理ができないケースなどでも、個人再生なら対処することが可能なことがあります。
個人再生の利用条件は?
簡潔に言うと2つの条件があります。
- 自分自身に収入があること
- 5000万円以下の借金であること
個人再生は、裁判所を利用した厳格な手続きであり、手続き後に債権者への返済義務が残ります。
なので、債務者にはその返済を続けられるだけの充分な収入が求められます。
つまり、1つ目の条件の、収入金額が一定以上で収入が安定していることが求められます。
収入があるとは言ってもアルバイトや転職を繰り返している人の場合は、安定していないという理由で個人再生ができないことがあります。
また、専業主婦などの場合、夫の給料から返済できるとしても、個人再生はできません。
さらに、個人再生では借金の限度額に制限があります。
このとき、2つ目の条件の5000万円以下の借金(住宅ローン特則を利用する場合の住宅ローンの額を除く)でないと、手続きできないということが挙げられます。
個人再生すると財産が差し押さえられる?
個人再生で財産を差し押さえられる心配はありません。
ただ、債務者の手持ちの財産がいくらあるかによって減額に差があります。
個人再生をする場合には借金の額が大きく減額されますが、債務者が持っている財産額については最低限支払いをしなければならないという原則があります。
この原則のことを、「清算価値保障の原則」と言います。
例えば、借金額が500万円の場合、財産が0であれば借金返済額は5分の1の100万円になりますが、300万円分の財産がある場合には、300万円までしか減額を受けることができません。
個人再生で問題になる財産は、債務者名義のすべての財産です。
例えば預貯金や生命保険、不動産、有価証券、投資信託、退職金見込額や個人事業者の売掛金なども財産扱いされます。
財産を持っていてもそれを失うことはありませんが、多額の財産があるとその分借金の減額が受けられなくなって、個人再生をするメリットがなくなってしまうので注意が必要です。
個人再生のメリット
個人再生のメリットは、なんと言っても借金の大きな減額が受けられることです。
また、住宅ローン特則の条件に合えば、住宅ローンがあっても家を守ったまま借金を整理することができます。
自己破産のように財産を失うこともなく、借金の原因も問題にならないので、浪費やギャンブルが原因の借金があっても個人再生ができます。
また、職業制限もないので、個人再生をしても自由にどのような仕事に就くことも可能です。
借金返済を滞納して債権者から差し押さえを受けている場合にも、個人再生を申し立てると強制執行を停止し、ので、差し押さえを解除してもらうことができます。
個人再生のデメリット
個人再生では、すべての債権者を対象とする必要があります(住宅ローン特則を利用する場合の住宅ローンは除く)。
このことによって、保証人がいると保証人に迷惑をかけることになり、車のローンがあると車はなくなってしまいます。
さらに、個人再生は裁判所を利用した複雑な手続きなので、必要書類も多く、手間や期間が長くかかります。
さらに、個人再生をすると、「官報」という政府の機関紙に住所や氏名、個人再生した事実などの情報が掲載されてしまいます。
官報とは国が発行している新聞のようなものです。官報に掲載されると、個人再生した情報が世間に知られてしまう恐れがあります。
このように、個人再生にはそれなりにデメリットもあります。
「一般的な保証人」と「連帯保証人」の違いは何か
2種類の保証人
個人再生の手続きをすると、保証人がついている借金がある場合には、その保証人に迷惑をかけてしまうというデメリットがあります。
保証人には、「一般的な保証人」と「連帯保証人」の2種類があります。
この両者は、何がどのように異なるのでしょうか?
保証人とは、お金を借りた本人が借金の返済をしない場合に、代わりに借金返済をしなければならない人のことです。
これは一般的な保証人でも、連帯保証人でも同じです。
一般的な保証人と連帯保証人の違い
連帯保証人も保証人の一種ですが、一般的な保証人よりもその責任が重くなっています。
連帯保証人には、一般的な保証人に認められる各種の抗弁権がありません。
抗弁権とは、債権者から支払いを求められた場合に支払いを拒絶するための権利のことです。
一般的な保証人には、「検索の抗弁権」と「催告の抗弁権」が認められます。
一般的な保証人の場合には上記の2つの抗弁権が認められるので、債権者から支払い請求を受けたとしても、直ちに支払いをしなくてよいケースがあります。
しかし、連帯保証人には上記の2つの抗弁権はありません。
債権者が、主債務者に請求をせずにいきなり連帯保証人に支払い請求をしてきても、連帯保証人には催告の抗弁権がないので支払いに応じる必要があります。
また、主債務者に財産があっても、連帯保証人には検索の抗弁権がないので、債権者による支払い請求に応じる必要があります。
連帯保証人には分別の利益がない
連帯保証人には「分別の利益」もありません。通常、保証人が複数いる場合には借金の返済義務は保証人の頭数で分割されます。
例えば100万円の借金について、AさんとBさんの2人の保証人がいるケースを考えてみましょう。
この場合、保証債務の負担割合は、Aさんが50万円分、Bさんは50万円分となります。
よって、債権者がAさんに対して100万円の支払い請求をしてきても、Aさんは自分の負担部分である50万円までしか返済する必要がありません。
残りの50万円については、債権者はBさんに請求する必要があります。
このような保証人に認められる負担割合のことを「分別の利益」と言います。
しかし、連帯保証人には、このような負担割合がありません。
よって、連帯保証人や保証人が複数いる場合でも、債権者が連帯保証人に対して借金全額の支払いを求めたら、連帯保証人は借金全額を支払う必要があります。
主債務者が個人再生をした場合、保証人(連帯保証人)に与える影響
主債務者が個人再生すると保証人はどうなる?
主債務者が個人再生の手続きをすると、債権者(貸金業者)は保証人や連帯保証人に対して借金の返済請求をすることになります。
この場合、主債務者は分割払いができない状態になっているので、業者は保証人に対しても借金の一括請求をしてくることが普通です。
保証人はどのくらい返済義務を負うのか?
主債務者は、個人再生によって借金の返済義務を減額してもらい、減額された分については債権者に支払いをします。
そこで、保証人が最終的に負担する借金返済額は、借金残額から借りた本人が返済する金額を引いた残りということになります。
個人再生の手続き後は、主債務者と保証人による返済が行われて、両者を足して借金が完済できたときにすべての借金の返済が完了することになります。
保証人が債権者に対して保証債務を一括払いしない場合には、主債務者による支払いと保証人による支払いが同時に並行して進んでいくことになります。
保証人はもともと主債務者に対して求償権を持っています。
求償権とは、保証人や連帯保証人が主債務者の代わりに債権者に対して支払いをした場合(代位弁済した場合)に、主債務者に対してその代位弁済分を請求できる権利です。
ところが、個人再生をするとこの求償権も減額の対象になります。
そこで、保証人が債権者の請求により保証債務を支払った場合には、債務者に対してもとのようには求償することができません。
減額された限度での求償にとどまるので、注意が必要です。
主債務者の個人再生前に保証人が支払いをしていた場合
例えば、もともとの借金が100万円あって、個人再生をする前に、連帯保証人が100万円を債権者に支払ってくれた場合、お金を借りた人はどうなるのでしょうか?
この場合、借りた本人は、債権者には返さなくてよくても、連帯保証人には弁済(返済)をしなければなりません。
保証人も借金を返済できない場合の「その人に合った手段」
主債務者が個人再生をしても、連帯保証人や保証人の保証債務は減額されないので、基本的には借金の残金の全額を返済しなければなりません。
しかし、そのような支払いは困難なことがあります。
連帯保証人も支払いができない場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?
保証人も債務整理をすることは可能なのか
保証人も債務整理をする
主債務者が個人再生をしたために、連帯保証人や保証人が借金を返済しなければならなくなった場合、保証人も返済ができないなら、保証人自身が債務整理の手続きをしなければならなくなることがあるかもしれません。
債務整理には「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」の4種類がありますが、連帯保証人や保証人が債務整理をする場合には、どの手続きを選択するのが最もよいのでしょうか?
任意整理が適している場合
主債務者が個人再生をし、そして保証人も債務整理をする場合、残債務の額がさほど大きくなくて、保証人にもそれなりの返済能力があるのであれば、任意整理をするとよいでしょう。
任意整理によって、借金の将来利息をカットしてもらい、返済期間を調整して月々の返済金額を抑えられれば、支払い能力のある保証人の場合なら完済まで返済を続けていくことができます。
個人再生や自己破産が適している場合
借金額が大き過ぎる、保証人自身に支払い能力がない場合(少ない場合)には、連帯保証人や保証人自身も個人再生をするか、自己破産をしなくてはならないでしょう。
保証人に十分な安定した収入があれば個人再生ができ、支払能力がまったくなければ、自己破産をして保証債務を0にしてもらう方法がよいかもしれません。
個人再生をすると、保証債務も大きく減額できることがあり、保証人が自宅などの財産を失うことも避けられます。
自己破産をすると、保証債務も含めて債務の支払い義務が完全になくなるので、保証人が保証債務の支払いをできない場合の一つの解決方法になります。
しかし、自己破産をすると基本的な財産がすべてなくなるなどのデメリットがあります。
保証人が自己破産すると、保証債務の支払いの必要はなくなりますが、保証人自身の財産をすべて失うことになってしまうので、注意が必要です。
このように、保証人がついている場合に主債務者が個人再生をすると、どのような方策をとろうとも保証人に迷惑をかけることは避けられないのです。
保証人がいる債務がある場合に個人再生を利用する場合には、保証人にかける迷惑を最小限にとどめる工夫が必要になります。
なるほど。 「保証人にはなるべく迷惑をかけないように」ですね。
何の対処もせずにいきなり個人再生を申し立てると、保証人が一括請求を受けたり債務整理しなければならなくなって、保証人との人間関係が壊れてしまう危険性も高いです。
債務整理を弁護士に相談した場合
主債務者が個人再生した際、保証人も個人再生によって問題を解決することができるケースがあります。
主債務者の借金問題も連帯保証人(保証人)の借金問題も両方解決できることがある手続きですが、個人再生に限らず、債務整理をする場合には、弁護士に相談や依頼をするのが一般的です。
個人再生以外で、保証人に迷惑のかけない方法を提案してくれることもあります。
債務整理を弁護士に相談する理由
債務整理手続きにおいて、司法書士には取扱金額に制限があります。
具体的には、「140万円」を超える経済的利益のある事件については、司法書士が取り扱うことができません。
よって、任意整理や過払い金請求手続きなどにおいて、140万円を超える借金があったり、140万円を超える金額の過払い金請求をする場合には、司法書士に依頼することはできません。
このようなケースでは、弁護士を探して手続きを依頼する必要があります。
弁護士には取扱金額の制限がありません。
代理権の範囲の違い
弁護士と司法書士の権限の違いは、個人再生や自己破産にもあります。
これらの手続きでは、裁判所に対する申し立てが必要になりますが、このとき、司法書士には書類作成の代理権しかないのです。
司法書士は、本人の代理人として行動することができません。
このことにより、手続き中に裁判所に出頭しなければならなくなった際、司法書士はその場に同席して発言することなどができません。
また、裁判所が「本人申立事案」であると判断することにより、手続きがスムーズに進まなくなるケースもあります。
弁護士を探して、債務整理をするのも解決方法の一つ
主債務者や連帯保証人(保証人)が個人再生をしたり、ほかの債務整理手続きを利用する場合には、弁護士を探して手続きを依頼することがスムーズな問題解決につながることが多くあります。
個人再生などの債務整理を依頼する場合には、弁護士のなかでも債務整理手続きを得意としている弁護士を探すことが大切です。
弁護士と言っても、その取扱分野はかなり広く、すべての人が精力的に債務整理事件に取り組んでいるわけではありません。
そこで、個人再生などの債務整理手続きを成功させるためには、債務整理事件の実績が豊富な、債務整理に強い弁護士事務所に依頼することが大切になります。
また、保証人に迷惑をかけたくないという場合には、「任意整理」などの手続きを検討することもできます。
借金問題に苦しんでいて個人再生を考えている人、保証人がいる借金があって悩んでいる人は、ぜひとも今回の記事を参考にして上手に借金問題を解決しましょう!
【まとめ】保証人にできるだけ迷惑をかけないための3つのポイント
では最後に、今回のまとめです。個人再生を利用する2つの条件
- 自分自身に収入があること
- 5000万円以下の借金であること
保証人への影響
借金をした本人が返済をしないかわりに、保証人が残りの借金を返済しなければなりません。 ですが、一般的な保証人と連帯保証人の場合で少し異なります。- 一般的な保証人の場合
- 残額を返済する必要があるが、抗弁権(債権者から求められる支払いを拒絶するための権利)があるため、すぐに支払いをしなくてもよいケースがある。
- 連帯保証人の場合
- 通常の保証人よりも返済の責任が重く、抗弁権がないため、支払いの拒否ができない。 また、借金全額を支払う必要がある。
保証人への迷惑を最小限にするためには
- 主債務者も保証人も債務整理をする
- 弁護士に相談をする
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2017.12.04 公開