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ペアローンでも個人再生できる?住宅を残したまま借金を減らす方法

2022.02.03 更新

「個人再生なら、ペアローンでも住宅を残したまま借金を解決できるらしい…?」 「ペアローンを組んでいるが、個人再生しても家を残したい。どうすれば?」 夫婦共働きの世帯では、住宅ローンを「ペアローン」で契約しているケースもあるようです。 ペアローンは借入額が増やせるなどのメリットがありますが、借金がかさんで返せなくなり「個人再生」を検討しているなら注意が必要です。 住宅が夫婦の共有名義となるペアローンは、所有権が誰にあるのかわかりづらく手続きに時間がかかります。 もし、誤った方法で手続きを進めてしまうと、住宅を残せなくなるおそれもあります。 この記事では「ペアローンでも個人再生で住宅を残したまま借金を減らせるのか」についてわかりやすく解説します。

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この記事のポイント

  • ペアローンを組んでいて個人再生するには注意点がある
  • ペアローンの場合、個人再生の手続きは複雑で時間がかかる
  • 法律の専門家に依頼することで解決できることもある

家を失いたくない……ペアローンでも住宅を残して個人再生できる?

住宅ローンをペアローンで組んでいても、個人再生の手続きを行うことは可能です。

しかし、夫婦のうち一人だけが個人再生をする場合には、注意しなければならないポイントがあります。

はじめに「ペアローンで夫婦のうち一人だけが個人再生をするケース」だとどのようなリスクがあるのかを説明します。

ペアローンで一人だけが個人再生することの問題点

住宅ローン以外にも借金があると「自分の借金だけでも個人再生で解決したい」と考える方もいるでしょう。

しかし、ペアローンを組んでいると少々問題になります。

ペアローンで夫妻ともに2分の1(50%)ずつローンを負担している場合は「一つの住宅に複数の抵当権が設定された状態」になります。

個人再生の手続きについて定めている「民事再生法」では、債務者が自宅を手放さずに借金問題の解決を図れるように、住宅ローン以外の借金を個人再生によって減額・分割払いとすることができる「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を設けています。

この特則を利用することで、住宅が財産として差押えられずに済むわけですが、民事再生法では「個人再生申請者の住宅ローンに対する抵当権以外の担保が設定されていないこと」が特則を利用できる条件とされています。

住宅ローンを組むと、住宅には抵当権が設定されます。

しかし住宅ローン以外の融資(事業資金など)の担保権も同時に設定されていると、その借金の担保としてマイホームを差押えられる恐れもあるため、特則は利用できません。

「借金問題が解決すればマイホームがなくなっても問題ない」ということであれば、夫(妻)だけでも個人再生をすることは可能です。

逆に「どうしてもマイホームを手放したくない」ということであれば、個人再生を行わないもう1人の契約者が家を買い取らなければなりません。

「ペアローンの個人再生」で住宅を残す方法

個人再生を行わない片方の契約者が家を買い取れない場合、ペアローンで組んだ住宅ローンに対して個人再生を行い、住宅の所有権を残すことはできないのでしょうか。

どうしても家を手放したくないのなら、夫婦そろって住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用して個人再生を申し立てるという選択肢があります。夫婦で同じ住宅に住んでいることが原則となりますが、特則が適用されれば、住宅を失うことなく(住宅ローンの返済を継続しながら)「それ以外の債務」を個人再生手続きによって圧縮できるかもしれません。

配偶者(片方の契約者)に借金がなく、個人再生を申立てる必要性に乏しいなどの一部条件下では、配偶者による申し立てなしで特則の利用が認められた裁判事例もあります。

ただし、これはあくまで例外的なケースです。

原則的には夫婦そろって特則を利用して個人再生を申立てる必要がある、と覚えておきましょう。

「ペアローン」ってどんな契約?ほかのローンとどう違う?

ペアローンは、マイホームの購入資金不足を補うことを目的で組みますが、どのような契約内容なのか正しくご存知の方はあまり多くないかもしれません。

以下では、ペアローンの契約内容の詳細や、他のローンとの違いについて説明します。

個人再生の手続きを行う前に、あらためてペアローンを正しく理解しておきましょう。

ペアローンの契約内容

ペアローン(相互保証型)とは、一つの物件を夫婦が各自の持ち分に応じて住宅ローンで借り入れる契約形態です。

妻は妻、夫は夫というようにそれぞれが自己負担分についての住宅ローン契約を交わすため、「2本立てのローン契約」となります。

ペアローンでは住宅の所有権が共同名義となるため、住宅ローンの分担割合がそれぞれの持ち分となります。

例えば夫婦で1,000万円ずつのペアローン契約を結んだ場合、夫が50%、妻が50%の所有権を持つことになります。

「連帯債務型」や「連帯保証人型」のローンとの違い

連帯債務型ローン ・夫婦のどちらかが主債務者で、もう片方が連帯債務者
・多くの場合、所有権は共有
連帯保証人型ローン ・夫婦のどちらかが債務者で、もう片方が連帯保証人
・所有権は債務者単独
ペアローン ・夫婦それぞれが債務者で、互いが互いの連帯保証人
・所有権は共有

・連帯債務型ローンとは

「連帯債務型」とは、夫婦のどちらかが住宅ローンの主債務者となり、もう片方(配偶者)が連帯債務者として住宅ローンを組む形態です。 ローンは1本立てとなり、主債務者と連帯債務者は同レベルの返済義務を負います。

連帯債務型で住宅ローン契約を交わす場合は、所有権は「共有」とするケースがほとんどです。

・連帯保証人型ローンとは

「連帯保証人型」は、一人が債務者となって住宅ローンの返済義務を負い、もう片方(配偶者)が連帯保証人となる形で住宅ローンの借り入れを行います。

債務者が返済できない状態に陥った場合は、連帯保証人が返済義務を負わなければなりません。

夫が債務者で妻が連帯保証人となっている場合、住宅は夫の単独所有となります。連帯保証人型は、ペアローン(相互保証型)や連帯債務型のように所有権を共有しません。

そのため、3つのローン契約のなかで唯一、夫婦のどちらかが住宅を単独で所有することになります。

ペアローンではそれぞれが個別にローン契約を組むため「2本立て」となりますが、連帯保証人型と連帯債務型では「1本立て」となります。

一般的に、ペアローンで住宅ローンを組むと借入時の事務手数料が他の二つのローンより高くなるため、支払い総額は多くなります。

連帯債務型ローンは「住宅資金特別条項」の条件を満たせる

連帯債務型ローンの場合、夫婦のうち1人だけ個人再生の申立てをしても問題はありません。

なぜなら、連帯債務型の契約では一つの住宅資金特別条項に対して抵当権も一つに限られるからです。

そのため、例えば夫だけが個人再生を申立てても、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)の条件を満たすことができます。

ペアローンや連帯債務型ローン、連帯保証人型ローンにはメリットがある

住宅ローンを夫婦のうちどちらか片方の単独名義ではなく、あえてペアローンや連帯債務型ローン、連帯保証人型ローンなどの共同名義で借りることには下記のようなメリットがあります。

【共同名義で借りる主なメリット】

  • 単独名義で借りるよりも借入可能額の範囲を増やせる
  • 夫婦ともに住宅ローン控除が受けられるので所得税が抑えられる
  • ペアローンによる共同名義なら、団体信用生命保険に夫婦で加入できる

民間の金融機関を利用する場合、収入を合算する方法では「妻の年収の半分まで」しか合算が認められていません。

しかしペアローンによる共同名義なら、借入可能額や税金などの面でメリットがあります。

ペアローンでの個人再生は手続きが複雑?

ペアローンを組んでいる場合、個人再生を申し立てるには非常に多くの時間がかかります。

また、手続き自体も複雑になりがちで、専門的な知識を必要とします。

下記では、個人再生の申立てから確定までの手続きの流れについて説明します。

個人再生が確定するまでの大まかな流れ

個人再生による申立ては、下記の流れで確定します。

【個人再生の大まかな流れ】

  • ステップ1:債権者へ受任通知を発送する
  • ステップ2:裁判所へ申立てを行う
  • ステップ3:個人再生委員を選出する
  • ステップ4:申立て手続きの開始を決定する
  • ステップ5:債権の届出が行われる
  • ステップ6:債権額をもとに再生計画案を提出する
  • ステップ7:再生計画案の認可を受ける
  • ステップ8:再生計画案に従い返済を開始する

個人再生の申立てが確定するまでには4~6ヶ月程度かかります。

これだけ多くの手続きを専門知識がない人が独力で行うのは大変で、確定まで進めるのは困難といえるでしょう。

個人再生の手続きを失敗しないために

個人再生を申立てる場合は、事前に「申立棄却事由(申し立てが却下される理由)」に該当していないかをご確認ください。

民事再生法に記されている、申立棄却事由に該当するのは以下の4つです。

  • 裁判所が定めた再生手続きのための費用を、あらかじめ納付しない
  • 再生手続きが債権者の一般の利益に適合する(債権者から見て自己破産のほうがメリットがある)
  • 再生計画案や再生計画の認可見込みがないことが明らか
  • 不当な目的で申し立てがされた、または誠実な目的ではない

裁判所が1項目でも該当していると判断すれば、個人再生の申し立ては棄却されます。

また、個人再生が自分に適した債務整理なのかを確認することも重要です。

一般的に、自分にベストな債務整理を選ぶにあたっては「労働収入」「借金総額」「売却価値のある財産」という3つの情報を整理していく必要があります。

ペアローンで組んだ住宅ローンに対して個人再生を検討する場合は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することで方法を知ることができるので、専門家に依頼することも選択肢の一つです。

ペアローンの個人再生は法律専門家への依頼も選択肢

ペアローンを組んでいる場合は権利の所在が複雑なため個人再生の手続きが難しく、手続きも複雑かつ専門的になります。

ペアローンのような特別なケースでは、弁護士や司法書士などの専門家に相談してみることも有効な選択肢の一つといえるでしょう。

個人再生をはじめとする債務整理の流れや費用に不安がある場合は、法テラスや法律事務所の無料相談などの機会を使って話をしてみましょう。

ご夫婦にとって、最適な方法が見えてくるかもしれません。

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2017.12.04 公開

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