住宅ローンを滞納すると競売に!?滞納後の流れや回避する方法を解説
2022.09.16 更新
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目次
住宅ローンを滞納し続けるとどうなるのか?
住宅ローンを滞納し続けると、滞納期間に応じて下記のような手続きが行われます。
滞納1~2ヶ月:電話や書面で督促が行われる
電話による督促が行われたり、書類(督促状・催告書)の発送が行われます。
滞納3~6ヶ月:住宅ローンの一括返済を求められる
督促を無視して住宅ローンを滞納すると、期限の利益の喪失通知が発送され、ローンの一括返済を求められます。
「期限の利益の喪失」とは「分割での支払いをこれ以上待てないので一括で払ってください」という意味です。
しかし、ただでさえ返済が滞っている状態で一括返済に応じられることは難しいでしょう。そこで行われるのが「代位弁済(だいいべんさい)」です。
「代位弁済」とは、保証会社が債務者(お金を借りている人)に代わって住宅ローンの支払いを肩代わりすること。
代位弁済が行われると、ローン残高に「遅延損害金」が加算されます。債務者には、「代位弁済通知書」でその事実が知らされます。遅延損害金の利率は約14%が目安で、毎月の返済額に対して遅延日数に応じた利息分が加算されます。
例)ローン残高2,000万円で毎月15万円返済、遅延日数10日の場合
15万円(返済額)×0.14(利率)÷365(日)×10(遅延日数)=575円
上記の場合、15万円に575円の遅延損害金を上乗せした金額を請求される形となります。
滞納6ヵ月~:一括返済できないと家を失う
一括返済できない債務者が選べる方法は、3つあります。
- 任意売却
- 支払いを放置して競売にかけられる
- 自己破産する
いずれにしても住宅を失うことになるので、生活へのダメージも少なくありません。
そのような状況を避けるためにも、住宅ローンの滞納は2ヶ月程度にとどめたいところです。
住宅ローン滞納の先に待つ「競売」とは
住宅ローンの滞納がおよそ8~12ヶ月におよんで一括返済にも応じないと手続きが開始されます。ここでは、どのような流れで競売の手続きが行われるか、競売にはどんなデメリットがあるのかについて見ていきましょう。
競売とは?
競売とは、住宅ローンの滞納を長期間続けた債務者が返済できなくなった場合に、債権者(金融機関などのお金を貸している人)が裁判所を通じて、強制的に家を売る法的手続きです。競売になると裁判所に住宅を差押えられ、家の売却や処分などもできなくなります。
住宅ローンを滞納すると、
→督促
→期限の利益の喪失通知の送付
→代位弁済通知書の送付
が順に行われます。それでもなお延滞を続けた先に訪れるのが、競売の手続きです。
競売の流れ
ここからは、競売の流れについて、時系列でご説明します。
滞納後8~12ヶ月: 競売開始通知書の送付や現況調査などが行われる |
裁判所より滞納者あてに、保証会社からの競売の申立てを認めたことを意味する「競売開始決定通知書」が発送されます。 その後、裁判所の執行官と不動産の鑑定士が債務者の自宅を訪れ、「現況調査(競売にかける住宅の立ち入り調査)」が行われます。 その結果をもとに、売却基準価格が公表されます。 |
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滞納後12~14ヶ月: 期間入札決定通知書の送付と住宅の競売が行われる |
家の「期間入札の公示」が行われ、住宅が競売にかけられます。 債務者には、入札期間や売却基準価格、家の住所などの公示内容が記された「期間入札決定通知書」が届きます。 競売では、入札者のうち最高額を提示した人が競売物件を落札できます。 |
滞納14~16ヶ月: 住宅の所有権が落札者に移る |
競売物件が落札されると、債務者に競売落札額が通知されます。 それにより、所有権が債務者から落札者に移転します。 |
滞納16~18ヶ月: 住宅から立ち退く |
債務者は、決められた期日までに所有権がなくなった住宅から立ち退きます。 このように住宅ローンの滞納を放置していると、自動的に住居から強制退去させられる結果となります。 |
競売のデメリット
住み慣れた住宅を差押えられることだけが競売のデメリットではありません。最大のデメリットは、市場価格の約6~7割で住宅が売られる可能性があることです。
例えば2,000万円の価値がある家でも1,200~1,400万円で売られてしまい、「住宅を売っただけではお金を完済できない状態」になる可能性が高いのです。
また、借金の残債(残りの返済額)は一括返済を求められます。それを返済できない場合には給与や他の資産の差押え・競売へと進むため、自己破産を検討せざるを得なくなることも。
連帯保証人がいる場合は、その人に債務がおよんで迷惑をかけてしまいます。
そうなる前にぜひ検討してほしいのが、住宅の価値を大きく下げずに売り、借金返済に充てられる「任意売却」などの対応策です。
住宅ローンの返済ができないときは、任意売却の検討を
住宅ローンの返済ができなくなったら、まず任意売却を検討しましょう。
任意売却のメリットとは?
任意売却とは、「住宅の購入を希望する人に家を売って得たお金でローンの返済を行う」手続きのことです。先述した通り、競売では市場価値の6~7割で住宅が売られてしまう可能性があります
しかし任意売却なら、市場価値に近い金額で家を売ることもできます。
住宅が高く売れればその分を借金返済に充てられ、残りのローン残高も減ります。また、債権者(金融機関)との交渉次第で、可能な範囲で分割返済できます。
住宅を市場価格の約6~7割の価格での売却となる競売は、金銭的・精神的ダメージが大きいもの。それを防ぐためにも、遅くとも滞納後8~12ヶ月までに任意売却を検討するのも選択肢の一つでしょう。
売却した家を借りて住む「リースバック」という選択肢
任意売却の場合、売却した家を借りて住む「リースバック」という方法もあります。
リースバックとは、投資家や不動産会社などの第三者に住宅を売却し、その物件を借りて住み続けることができる手続きです。ただし、リースバックを成立させるには「不動産価値が住宅ローンの残債より高いこと」が条件となります。
リースバックを行う場合、自宅の買い取り額は市場価値の6~7割とされています。
仮に住宅の価値が1,200万円、残債が700万円の場合は、買い取り額約720万円(6割)の買い取り額でローンの残りを補填できます。この場合はリースバックが成立しやすいでしょう。
しかし、住宅の価値は同じで残債が1,500万円だと、自宅を売ったお金ではローンを補填できず残債が発生します。その結果、債権者に不利益になるのでリースバックの合意が得られにくいのです。
「債務整理」を住宅ローン以外の借金を整理する選択肢に
任意売却などで滞納していた住宅ローンをなんとか整理できても、「それ以外の借金の返済に困る」というケースは十分に考えられます。そんな場合にぜひ検討したいのが、債務整理です。
債務整理には4つの方法がありますが、実際によく行われているのは次の3つです。
個人再生(住宅ローン特則)
「ほかの借金を減らせれば住宅ローンの支払いができる」という方は、個人再生(住宅ローン特則)という方法があります。
これは、住宅ローン以外の借金を約5分の1に圧縮・減額し、先述した「期限の利益」を回復させることで再度住宅ローンの分割返済を目指す手続きです。
しかし、借金を延滞している場合は代位弁済から6ヶ月以内に民事再生の申立てをしないと、個人再生の手続きが取れません。
任意整理
弁護士・司法書士が債権者と交渉し、将来利息のカットによる借金の減額や返済期間の見直しなどを行い、債務者の負担を減らす方法です。
ただし、任意整理の対象に住宅ローンは含まれないので、住宅ローン以外に多額の借金がある場合に検討するとよいでしょう。
自己破産
住宅ローンを含めたすべての債務をなくす手続きです。住宅を売っても住宅ローンを返済しきれず、なおかつ他の借金も返済が難しくなってしまった場合の最終手段として検討しましょう。
まとめ
住宅ローンの滞納を放置していると、住宅が想定外の安い価格で競売にかけられ、家を売っても多額の住宅ローンが残ってしまう――という事態にもなりえます。 そのため、滞納から8~12ヵ月までに任意売却などの対策を講じる講じたほうがよいでしょう。 また、住宅ローン問題が解決しても、他の借金が返済できない場合も多いでしょう。その場合は「債務整理」も有効な手段の一つです。 住宅ローンに限らず借金の問題は、解決策がないように思えるかもしれませんが、方法はあります。いずれの場合も、まずは弁護士・司法書士などの専門家に相談し、1日も早く借金を返済しましょう。借金減額診断とは?
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2022.09.15 公開