「親に不幸が…保証人になっていた場合は代わりに借金を返済しなければならない?」
親や親戚が結んだローンや借金の保証人や連帯保証人契約。
信頼できる人とはいえ、もし債務者本人が病気や事故などで亡くなってしまったら…。
借金の支払いがどうなるのか不安に思っている方も少なくないはず。
実は、残念ですが債務者が死亡しても借金自体はなくなりません。
原則としては保証人や連帯保証人に返済義務が移ることになります。
こちらの記事では、債務者が亡くなってしまった場合の借金返済や、その対処法について解説していきます。
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債務者が死亡した後の借金…その扱われ方と保証人の責任とは?
債務者が亡くなっても、借金が帳消しになることはありません。
その借金は、法定相続人・保証人・連帯保証人に引き継がれることになります。
まずは債務者(借金をした人)が亡くなったら、借金の契約がどのように移行するのか見ていきましょう。
債務者が死亡しても借金の契約は残る
それぞれの立場ごとに借金の扱いについてご説明します。
・自分が法定相続人の場合
故人の遺産には不動産や貯金だけでなく借金も含まれます。
そのため遺産を相続した際には、相続人が返済義務を負わなければなりません。
ただし、法定相続人の場合は「遺産放棄」や「相続の限定承認」という方法を選択することで借金の相続を避けることが可能です。
※相続の放棄については、ページ下部の「相続放棄」で解説しています。
・自分が保証人や連帯保証人の場合
債権者と保証人・連帯保証人の間で成立する「保証契約」は、債務者と債権者の間の「金銭消費賃借契約」とは別物です。
そのため、債務者が死亡した場合も返済義務は消滅しません。
保証人には相続放棄などによる支払い義務から逃れる手段がないため、債務が移った者か保証人の手で債務の完済、つまり借金を全額返済する義務を負います。
・自分が法定相続人であり保証人・連帯保証人でもある場合
法定相続人であり保証人・連帯保証人でもある場合は、相続放棄を行っても保証人としての支払い義務が残ることになります。そのため、借金を全額返済する義務を負います。
亡くなった人に借金があるかどうかを確かめる方法
「遺産を相続した後に借金があったことを知った」というケースも少なくありません。そういった事態を防ぐためにも、まずは亡くなった方の借金の有無や金額を知っておく必要があります。
死亡した債務者の借金について知りたい場合は、以下3つの信用情報機関に問い合わせれば確認できます。
本人が死亡している場合に限り、配偶者や二親等以内の血族、委任された弁護士や司法書士によって確認してもらうことが可能です。
住宅ローンはローン残額が精算される
住宅ローンを使用する際、多くは「団体信用生命保険」に加入することが条件となっています。
団体信用生命保険制度によってローンの残額が精算されるため、住宅ローンが残っている場合は契約書や契約している金融機関に確認してみましょう。
保証協会団信は、信用保証協会からの債務保証を伴って融資を受けた債務者(※)が、その債務を全額返済されないうちに死亡もしくは所定の高度障害といった不測の事態に陥られた場合に一般社団法人全国信用保証協会連合会が生命保険会社から受取る保険金をもとに、金融機関に対する債務を弁済することにより、事業の維持安定とともに、ご家族の安心を図ることを目的とした制度です。
※債務者が法人の場合は、その業務執行につき代表権を有する連帯保証人。
一般社団法人
全国信用保証協会連会合HPより
覚えておきたい、「保証人」と「連帯保証人」の違い
「保証人」と「連帯保証人」は負うことになる責任や行使できる権利に大きな違いがあります。そのため、まずは保証人と連帯保証人の違いについて理解しておかなければなりません。
催告の抗弁権の有無
催告の抗弁権とは、債権者から請求を受けた際に主債務者へ先に請求するよう主張できる権利です。保証人にはこの権利が認められていますが、連帯保証人はこうした主張を認められていません。
検索の抗弁権の有無
検索の抗弁権とは、主債務者に資産があるにもかかわらず返済を拒んだことで債権者から返済を要求された場合に、主債務者の資産に対する強制執行を主張できる権利です。
ただし、主張をする際には主債務者に資産があること、かつ強制執行が行えることを証明する必要があります。保証人にはこの権利が認められていますが、連帯保証人には主張する権利がありません。
分別の利益
保証人や連帯保証人が複数いる場合、保証人は借金の残高を人数で割った金額の返済義務しか発生しませんが、連帯保証人は人数に限らず借金全額に対する返済義務を負わなければなりません。つまり、連帯保証人の場合は借金の負担を分割できず、より多くの返済を行わなければならない可能性があります。
- (例)借金の残高500万円 保証人・連帯保証人5人の場合
・保証人が返済義務を負う金額 500万円÷5人=100万円
・連帯保証人が返済義務を負う金額 500万円
こんな場合はどうする?保証人・連帯保証人の支払い義務事例
未払いの借金を抱えた債務者が死亡した場合の保証人や連帯保証人の支払い義務について、ケースごとに紹介していきます。
借金が200万円あり、A~Dの4人の保証人・連帯保証人がいた場合の返済義務について考えてみましょう。
A、B、C、Dがそれぞれ保証人のケース
未払いの借金が200万円あり、保証人が4人なのでA、B、C、Dで200万円を均等に分割した50万円がそれぞれの返済負担額となります。
自身の返済負担額の50万円を返済すれば、残りの150万円分に関しては返済の義務がありません。
A、B、C、Dがそれぞれ連帯保証人のケース
A、B、C、Dが連帯保証の場合は、それぞれが200万円の返済義務を負わなければなりません。ただし、「それぞれが200万円を返済しなくてはならない」というわけではなく、「全員で200万円を返済する」という考え方になります。
つまり、Aが50万円を返済していたとしてもBが30万円、Cが40万円、Dが20万円の返済しかしておらず、Aが残りの60万円の請求を受けた場合にはこれを拒むことができません。
保証人や連帯保証人の違いや負うリスクについては、以下の記事でさらに0詳しく解説しています。
債務者が死亡した後の借金…その扱われ方と保証人の責任とは?債務者が亡くなっても、借金が帳消しになることはありません。その借金は、法定相続人・保証人・連帯保証人に引き継がれることになります。まずは債務者(借
保証人でも支払いを免れたり返済額を減らしたりするのは可能?
いくら信頼していた人だからといって、債務者の死亡によって突然、借金返済の請求を受けても困りますよね。
支払いを免れたり減額をしたりする方法があるならば、活用したいと考えるのは当然のことでしょう。支払い義務を免れる、支払い額を減額する方法にどのようなものがあるのかをご紹介していきます。
相続放棄
亡くなった債務者の保証人であると同時に法定相続人である場合、相続の放棄を行うことで自分が保証人になっていない借金に関しては返済義務を放棄することが可能です。
ただし、保証人になっている借金は相続放棄をしても返済義務がなくならないので注意しましょう。
債務整理
債務整理は、原則弁護士や司法書士といった法律の専門家を介して、借金の減額や免除を行う法律に則った手続きのことです。
保証人は自分で借金をしたわけではありませんが、保証債務(連帯保証債務)は借金と変わらないため、返済が難しい場合は弁護士・司法書士などの専門家に相談するようにしましょう。
相続が関係ないケースでは、債務整理を行うのが主な選択肢となります。
どのように対処すべきかわからないなら、専門家に相談を
相続放棄と債務整理どちらを行う場合でも、弁護士や司法書士に相談ができます。専門家に相談をするメリットは以下の通りです。
複雑な手続きを行う必要がない
相続放棄や債務整理は専門的な知識が必要となる場面も多く、個人で行うには非常に大きな負担となります。
そうした複雑な手続きなどを専門家が代理で行ってくれるため、大幅に手間を削減することが可能です。
債権者からの直接の問い合わせをなくせる
専門家に手続きを依頼すると、債権者からの問い合わせをすべて代理で受けてもらうことができます。
問い合わせに直接対応しなくて済むので、精神的にも落ち着くでしょう。
また、問い合わせに対して適切なアクションをしてもらえるのもメリットのひとつです。
結果的に遺産相続トラブルを防ぐことも
遺産相続では、不動産の分配や債務の引き継ぎなどによって親族間でのトラブルが生じるケースも少なくありません。
専門家に依頼すれば遺産相続に関する相談もできるため、結果として遺産相続トラブルの回避につながることもあります。
債務整理を行うことで借金の削減が可能
保証債務(連帯保証債務)の返済を行わなくてはならなくなり、返済が難しい場合は債務整理を通して返済額の削減ができます。返済額を圧縮できれば、借金返済の負担も減らせるでしょう。
まとめ
主債務者が借金を残したまま死亡してしまった場合でも、借金が消失することはありません。すなわち、保証人や連帯保証人は借金の返済を行う必要があります。返済義務が及ぶ金額に関しては、保証人と連帯保証人、立場によって変わるため注意しましょう。
保証人や連帯保証人として借金の返済が困難な場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談するのが得策です。返済を滞納して深刻な状態に陥る前に、専門家への相談を検討しておきましょう。
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