連帯保証人になるメリットはない!保証人との違いやリスクなどわかりやすく解説
2021.08.14 更新
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目次
連帯保証人とは?保証人との違いについて詳しく説明
借金や賃貸契約を結ぶ際に、借りる側(債務者)が貸す側(債権者)から、保険として「保証人」や「連帯保証人」を定めるよう求められる場合があります。
一般的に借金の「保証人」と「連帯保証人」は似たようなものと認識されがちですが、実は大きく異なります。
その違いを端的にいうと、以下のようになります。
保証人 | 借金をしている本人が返済できなくなったなど、条件が揃ったときのみ肩代わりする義務が発生する |
---|---|
連帯保証人 | 借金をしている本人とまったく同じ義務 |
極端な話ですが、借金をした本人が支払うだけの財産があったとしても、債権者が連帯保証人に返済を迫るのは可能ということになります。
つまり、連帯保証人は保証人よりもかなり重い責任が課せられているのです。
連帯保証人が主張できない3つの権利・利益
それでは、保証人と連帯保証人の違いを、さらに詳しく見てみましょう。
先ほど「保証人は条件が揃ったときのみ」と説明しましたが、保証人には以下の権利・利益が認められ、連帯保証人には認められていません。
1.催告の抗弁権
借りた本人が自己破産をしていない、または行方不明ではないことが前提で、債権者に対して、主債務者(借りた本人)への十分な請求を求める権利です。
たとえば、突然債権者から返済を迫られた場合、保証人であれば「いきなり私に請求せずに、まずは本人に請求してください」と主張できます。
2.検索の抗弁権
催告の抗弁権と同様の前提で、主債務者に返済できるだけの財産がある場合は、主債務者から先に請求するよう求める権利です。
たとえば、保証人であれば「主債務者には財産があるから、本人から返済してもらうか、財産を差押さえるかにしてください」と主張できます。
3.分別の利益
保証人が複数いるとき、1人の保証人が返済する額はすべての保証人の人数で割った額が上限となります。
たとえば、500万円の借金に対して5人の保証人がいれば、1人あたりの返済義務は100万円になります。しかし、4人の保証人と1人の連帯保証人というケースであれば、協議次第では連帯保証人が500万円全額を返済するケースもあります。
連帯保証人は借金も相続される?回避方法は?
連帯保証人の責任の重さについてはおわかりいただけたでしょうか。
さて、続いては、そんな連帯保証人に関する疑問にお答えしていきます。
「誰かの連帯保証人となっていた自分の親が死亡した場合、連帯保証人の地位も相続しなければならないの?」という不安をもっている人もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、死亡した親が連帯保証人だった場合、その地位も相続しなければなりません。
相続は死亡した人が所有していた財産だけでなく、借金も含めてすべてを引き継ぐことが原則です。連帯保証人の地位もあてはまります。
そのため、債権者による返済が滞ってしまうと、相続した人が返済の義務を負わなくてはならない可能性があるのです。
親の独断で連帯保証人になったにもかかわらず、関係のない自分が多額の負債を抱える恐れがあるのは理不尽な話ですが、これを回避する手段はきちんと用意されています。
その手段とは、相続放棄です。
遺産相続では家庭裁判所で適切な手続きを取れば、相続を放棄することができます。
ただし相続放棄をした場合、負債だけではなく、プラスの財産についても放棄しなければなりません。したがって連帯保証人として支払う可能性のある負債額や、主債務者による返済状況などを、総合的に判断する必要があります。
連帯保証人を頼まれたけど、どうしたらいい?
連帯保証人が負う義務やその危うさを理解していても、大切な友人や家族に頼み込まれると断り切れない、というのが本音ではないでしょうか。
しかし、連帯保証人になることのメリットはありません。
「断れなかった」というだけで、相当なリスクを負うことになりますし、人生を破綻させる可能性も否定できないのです。
もし、連帯保証人を頼まれていて悩んでいるという人がいれば、よく調べ、よく考えることをおすすめします。
連帯保証人を引き受けるデメリット2つ
では、連帯保証人のデメリットを詳しく見ていきましょう。
1.借りた本人(主債務者)と同じ責任を負わなくてはならない
連帯保証人が、主債務者と同じ責任を負うことに関しては、先ほどお話したとおりです。
金融機関など債権者は貸したお金を回収することが第一なので、主債務者に返済能力がないと判断すれば、連帯保証人に請求をします。
保証人とは異なり、この請求に対抗する権利や利益もないため、応じるしかありません。
2.債務者が自己破産すると、一括返済を請求される
契約内容にもよりますが、主債務者が自己破産をした場合、連帯保証人は一括返済を請求される恐れがあります。
主債務者の自己破産は、債権者と連帯保証人との契約には関係しないため、債務者が自己破産したからといって連帯保証人の借金が帳消しになるわけではありません。
もし、連帯保証人でも支払いが不可能な場合、連帯保証人も自己破産などの債務整理を行うことになる可能性があります。
親や兄弟、友人に頼まれたときの対処法
では、大切な人に連帯保証人を頼まれたときは、どうやって断るのがよいのでしょう。
連帯保証人はリスクが大きすぎる上に、一度なってしまうとそう簡単にはやめることができません。もし、連帯保証人を頼まれたときは、そういった事実を明確に伝え、相手を納得させてみてはいかがでしょうか。
「大切な人だからこそ、金銭トラブルで信頼関係を壊したくない…」
「連帯保証人になれるほど余裕がない…」
といった具体的な理由を提示すると、よいかもしれません。
また、連帯保証人の代行をしてくれる保証会社を利用するという手もあります。
保証会社とは、連帯保証人の役割を担ってくれる会社で、最近では不動産の賃貸において、保証会社の利用が条件となることも増えているようです。
万が一、返済が滞った場合は、保証会社が一時的に立て替えてくれます。
もちろん、無償で保証会社が立て替えてくれるわけではなく、利用には審査と別途保証料の支払いが必要なため、要注意です。
保証料の支払いがありますが、連帯保証人がどうしても見つからないという場合は、保証会社の利用を検討するようお伝えしてみてはいかがでしょうか。
大切な人が困っているのであれば、現実的で最善の方法をともに考えてあげましょう。
連帯保証人を途中でやめることは可能?
断り切れずに連帯保証人になってしまい、後悔しても、連帯保証人を途中でやめることは難しいといえます。
債権者は、連帯保証人がいるという事情も踏まえて、契約を結んでいます。
債権者からすると、連帯保証人がいなくなることで債権回収の可能性が低くなるため、簡単に連帯保証人をやめてもらっては困るのです。
一度ハンコを押した以上、連帯保証契約を解除することは困難ですが、解除できる可能性があるものとしては以下が挙げられます。
- 債権者に認めてもらう
- 債権者の了承が得られれば、連帯保証契約を解除することは可能です。
主債務者による返済が確実なものになったり、他に連帯保証人を引き受けてくれる人が見つかったりすれば、債権者も了承してくれるかもしれませんが、そのような状況になることは稀です。
- 詐欺や脅迫によって契約した
- 「自分が知らない間に連帯保証人の契約書にサインをされていた」
「契約書にサインするよう脅された」
詐欺や脅迫によって連帯保証人にさせられた場合は、無効にできる場合があります。
ただし、脅迫や詐欺を証明して契約を解除するためには、訴訟に発展するケースが多いです。
訴訟は自分で起こすことも可能ですが、法律の知識や証拠集めが必要になります。
連帯保証人をやめることは不可能ではありませんが、一度なってしまうと、後戻りができないことが多いと思っておいた方が良いでしょう。
離婚した場合でも契約を無効にはできない
では、配偶者名義で購入したマイホームの連帯保証人になっていて、その後離婚した場合はどうでしょうか。
離婚したところで、連帯保証人の契約が解除されることはありません。
なぜなら、連帯保証の契約は、主債務者ではなく債権者と締結されているものだからです。
いい換えれば、離婚はあくまでも夫婦間の問題であって、連帯保証の契約とは関係がありません。
したがって、配偶者の連帯保証人になる際は、離婚したときの対応についても十分に話し合う必要があります。
配偶者と離婚に関する話をすることは気が引けますが、リスクヘッジのために、夫婦間で書面による契約を締結しておくことをおすすめします。
また連帯保証人のまま離婚すると、あとでトラブルになりやすいので、離婚する前に売却するなどの対処をしておくべきでしょう。
連帯保証人になって抱えた借金は弁護士や司法書士に相談をするのも解決方法の一つ
連帯保証人は借りた本人(主債務者)と同じ返済義務を負います。そのためメリットはほとんどなく、大きなリスクと責任を負うばかりです。
また、借りた本人(主債務者)の借金をすべて肩代わりしなければならない上に、一度契約を結んでしまうと解除することは難しくなります。
さらに連帯保証人は、主債務者が支払いできない状況に陥ったり、自己破産をした場合、債権者から債務の一括払いを求められます。
連帯保証人になってしまっていて、借金を肩代わりすることになったら、弁護士や司法書士に相談するのも一つの方法です。
弁護士や司法書士が仲介することにより「分割払いにしてもらう」「借金を減額・免除してもらう」といった手続きが可能になることがあります。
弁護士や司法書士への相談は、何となく恥ずかしかったり、ハードルが高いように思えたりしますが、決してそんなことはありません。
最近では、無料相談や費用の分割払いに応じてくれる法律事務所もあるので、 一度相談してみるのもよいかもしれません。
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2019.01.18 公開