「急に入院したので借金を返せなくなってしまった」
「親が入院して返済できない借金、どうすればいい?」
突然の病気やケガで入院することになったら…。
医療費が家計を圧迫すると、借金の返済が困難になる可能性があります。
また、「親が借金の返済中に入院して返済が難しくなった」という場合もあるでしょう。
そこでこの記事は、急な入院によって発生した借金問題に対処する方法についてご説明します。
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2022.02.03 更新
「急に入院したので借金を返せなくなってしまった」
「親が入院して返済できない借金、どうすればいい?」
突然の病気やケガで入院することになったら…。
医療費が家計を圧迫すると、借金の返済が困難になる可能性があります。
また、「親が借金の返済中に入院して返済が難しくなった」という場合もあるでしょう。
そこでこの記事は、急な入院によって発生した借金問題に対処する方法についてご説明します。
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借金の返済中に入院することになってしまうと、それまで順調だった返済が滞る恐れがあります。その結果として起こりうる事態と、その場合に多くの方が考える対処法が適切なのかどうかを見ていきましょう。
入院中に借金の返済ができなくなる最大の原因は、入院によって働けなくなり、借金返済に必要なお金の捻出が難しくなることにあります。
限られた収入の中から毎月借金を返済するとなると「使えるお金」は十分ではないでしょう。
借金返済には「毎月何のトラブルもなく働ける(一定の収入がある)こと」が重要です。
しかし入院によって一定期間働けなくなると、収入が減り、失業に至る恐れもあるでしょう。その結果、借金の返済がますます困難になる可能性が高まります。
借金で首が回らなくなった場合にまず脳裏に浮かぶのが、「借金の踏み倒しは可能か?」ということでしょう。結論から言えば、答えは「ノー」です。
借金を滞納しても、債権者からの返済請求がまったくないまま5年または10年の時効期間が経過すれば、その借金は時効(消滅時効)でゼロになります。この事実を知っている方は、借金を踏み倒せると思うかもしれません。
しかし、実際には時効間際に訴訟を起こされる(それにより時効がリセットされる)ケースがほとんどで、普通はもっと早い段階で督促されます。その督促を無視すると訴訟を起こされ、家や車なども処分されて債権者への返済に充てられる可能性があります。
一方、悪質な金融業者なら病室まで取り立てに来る可能性もあります。それが原因で適切な診療が受けられなくなったり、家族や勤務先、友人などにも大きな迷惑が及びかねません。
特に親や配偶者を保証人や連帯保証人としている方は要注意です。あなたの代わりに返済義務を負った結果、それが原因となり破産――という事例は、決して珍しくありません。
したがって、借金の踏み倒しは事実上不可能と言えます。
一方、貸金業者などにお願いをして返済を一定期間待ってもらうのが可能な場合もあります。よって、貸金業者に相談してみるのも手です。
ただし、返済の猶予が可能かどうかは相手によります。返済の延期が可能な場合でも、借金の返済義務が先延ばしになるだけということは覚えておきましょう。
また、退院後すぐ仕事に復帰できず、収入を入院前の状態まですぐに戻せない可能性もあります。そうなると一定期間待ってもらっても返せなくなります。
したがって、返済を待ってもらうことを考える場合は、入院前と同じペースで返済できない可能性も考えなければなりません。
その上で退院後の返済についてさまざまな角度からシミュレーションを行い、「本当に今後の返済が可能かどうか」をよく検討する必要があります。
それが難しそうだと思ったら、一人で悩まず弁護士や司法書士などの専門家に相談したほうがよいでしょう。
次は、入院によって借金ができたらどのように対処すればよいかを見ていきましょう。そのためには、必要となる入院費や、高額になりがちな入院・手術費を抑える方法についても知っておく必要があります。
公益財団法人生命保険文化センターが行った「平成28年度生活保障に関する調査」によれば、入院時の医療費自己負担額平均は22万1,000円(注)です。入院が長引いた場合や30万円以上が目安となるガンの手術費や個室などの差額ベッド代が生じた場合は、さらに支払う医療費が高額になります。
しかし十分な蓄えがないと入院・手術費が払えない場合もあります。そのような事態を防ぐためにも、まずは入院費用を抑える方法を知っておきましょう。
(注) 衣類、日用品などを含む。高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額
入院費や手術費を抑える方法として検討したいのが、健康保険加入者なら誰でも利用できる「高額療養費制度」です。
高額療養費制度とは、高額の医療費による生活の困窮を防ぐためにある公的医療制度です。1ヶ月の医療費が一定額を超えた場合、自身が加入している公的健康保険(国民健康保険や健康保険組合など)に申請すると、超過分の医療費が支給される仕組みです。利用すると入院費などの医療費負担を抑えられます。
月の自己負担額は、同じ世帯に住み、同じ健康保険に加入している親族の医療費も合算できます。
高額医療費制度は、年齢や前年の世帯年収で給付される金額が変わり、どの程度入院・手術費を抑えられるかも人によって違ってきます。 まず、高額療養費制度を利用した場合の自己負担額は以下のとおりです。
・69歳以下の場合 | |
---|---|
年収約1,160万円~ | 252,600円+(医療費-84万2,000円)×1% |
年収約770万~約1,160万円 | 167,400円+(医療費-55万8,000円)×1% |
年収約370万~約770万円 | 80,100円+(医療費-26万7,000円)×1% |
年収約370万円まで | 5万7,600円 |
住民税非課税世帯 | 3万5,400円 |
・70歳以上 | |
---|---|
年収約370万円~ | 8万100円+(医療費-26万7,000円)×1% |
年収約156万~約370万円 | 4万4,400円 |
住民税非課税世帯 | 2万4,600円または1万5,000円 |
ご覧の通り、前年の世帯年収が高いと自己負担額の上限が高くなり、入院しても高額療養費制度が適用されない場合もあります。
しかし、独自の医療費助成を行っている自治体や健康保険では、これとは別に医療費の助成を受けられるケースがあります。まずは、各自治体や加入する健康保険に問い合わせてみましょう。
高額療養費制度の利用には、他にも注意すべき点が3つあります。
1.自己申告制である
高額療養費制度は自己申告制です。加入している健康保険に自分で申請を行わないと適用されません。
2.保険適用外の診療には高額療養費制度が適用されない
高額療養費制度の対象となるのは、健康保険が適用される医療費だけです。食事代、差額ベッド代、先進医療などの保険適用外の医療費についてはすべて自己負担となります。
3.申請~給付まで時間がかかる
申請から給付金をもらえるまでの期間が約3ヶ月かかるのも大きなネックとなります。いったん立て替えておく方法もありますが、手元にお金がない場合は一時的に借り入れなどで調達し医療費を払う必要が生じます。
その可能性がある場合は、事前に「限度額適用認定証」を入手しましょう。それにより、病院からの請求額が高額療養費制度適用後の自己負担上限額となります。
このように、高額療養費制度の利用にはさまざまな注意点があることも把握しておきましょう。
借金返済の延期などの一時しのぎは望ましくありません。もっと根本的な対策を検討する必要があります。
とはいえ、専門的な知識を持たない債務者が療養中に冷静かつ適切に借金返済へ対応するのは限界があります。
その場合は「債務整理」など、これからのご自身や家族の生活を見据えた解決策を検討しましょう。
親が借金した状態で入院した場合、子どもに親の借金を返済する義務はあるのでしょうか? 結論から言えば、借金の保証人や連帯保証人でない限り、子であっても親の借金を払う義務はありません。
しかし、親が亡くなった場合は、相続により親の借金が子どもに引き継がれます。それを避けるには、相続放棄する必要があります。ただし、借金よりも財産が多い場合は、いくらプラスになるかで相続の可否を判断するのもありです。
夫婦のどちらかが、借金返済中に入院するケースについても少し触れておきます。
借金が「日常家事債務(日常生活に必要な物品やサービスの購入で生じた借金)」と判断されると、配偶者にも返済義務が生じる場合があります。
その場合は何が日常家事債務かの判断が難しいので、公的機関や弁護士や司法書士に相談した上で対処したほうがよいでしょう。
最後に、入院により借金を滞納することで生じるリスクと、返済に困った場合に有効な選択肢についてご説明します。
1.滞納直後~1ヶ月目:金融会社より電話やハガキなどで督促される 延滞した借金の返済と、その分の遅延損害金を合わせて請求されます。職場や自宅を連絡先にしている場合は、家族や職場の同僚に借金の事実を知られるリスクも生じます。 |
2.滞納後1ヶ月~:内容証明で督促状が届く 「1」を無視していると、金融会社より内容証明郵便で利息を含めた借金の全額と遅延損害金を一括請求されます。 |
3.督促状を無視した場合:金融会社に裁判(訴訟)を起こされる 「1」や「2」の段階で対応しない場合、金融会社に裁判を起こされます。その場合に届くのは「訴状」または「支払督促」ですが、それに応じなければ裁判所命令で財産を差押えられます。 |
入院によって借金返済に困る方の多くは、すでに返済が難しい状況に陥っています。そのため、早い段階で弁護士や司法書士などに相談し、適切に対処することをおすすめします。
中でも、有効な選択肢のひとつが「債務整理」です。
債務整理は主に弁護士や司法書士に依頼して行う法的手続きで、大きく「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類があります。
入院中でも負担が少ないのは「任意整理」で、借金の自力返済がまだ可能な場合に有効な対処法です。借金が増えると利息がかさみ返済総額も増えますし、対処法も限られます。できればそうなる前に、公的機関や弁護士や司法書士に相談しましょう。
入院で借金の返済ができない場合や入院により新たに借金を作った場合、踏み倒しや返済の先延ばしを行っても根本的な解決にはなりません。まずは高額療養費制度などを活用して入院費の自己負担を減らしましょう。
それでも厳しい状況なら、公的機関や弁護士、司法書士などに相談し、債務整理などの根本的な対策を検討しましょう。
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2017.12.13 公開