「過払い金返還請求すると、その後どんな影響が?」
「デメリットを避ける方法は?」
過払い金の請求は、貸金業者などに対して払いすぎた利息を返してもらう手続きです。
貸金業者に返金の請求するというと、「信用情報に傷がつく」「ブラックリストに登録される」といったデメリットを心配される方もいるかもしれません。
原則、過払い金返還請求にはデメリットはありません。
ただしそれはあくまで「原則」であり、デメリットが発生するケースもあります。
もし発生するのであれば、過払い金の返還請求をする前に知っておきたいところですよね。
この記事では過払い金返還請求によってデメリットが生じるケースとその内容、そして対処法についてお話ししていきます。
過払い金返還請求のデメリット
過払い金の返還請求は、貸金業者などに対して払いすぎた利息を返してもらう手続きです。
貸金業者に借金の減額や免除してもらう債務整理であれば、「信用情報に傷がつく」などのデメリットが生じます。
しかし過払い金返還請求は払い過ぎたお金を返してもらう手続きです。原則信用情報に傷がつくこともありません。
冒頭で「原則、過払い金返還請求にはデメリットはない」とお話ししたのはそのためです。
ただし、例外的にデメリットが発生するケースもありますので、以下で詳しくお話ししていきます。
借金を完済してからの過払い金返還請求はブラックリストに載らない
よく誤解されるのが「過払い金は債務整理と同じ。だから信用情報に傷がつく」というものです。
冒頭でもお話ししましたが、
- 過払い金返還請求は、払いすぎた利息を返金してもらう手続き
- 債務整理は、借金を軽減または免除してもらう手続き
という点で大きく異なります。
したがって、債務整理共通のデメリットである、信用情報に傷がつく(俗にいうブラックリストに載る)ことはほとんどありません。
かつては過払い金返還請求をすると「契約見直し」という情報が信用情報に登録され、信用に傷がつくケースがありました。
しかし、2010年(平成22年)4月19日から「契約見直し」が廃止されたため、過払い金返還請求をしてもブラックリストに載らなくなったのです。
ただしこれは、「すでに借金を完済した人」が過払い金返還請求をした場合に限られます。
借金返済中の過払い金返還請求はブラックリストに登録されるケースも
注意して欲しいのは、「今も借金の返済中」の方が過払い金返還請求するケースです。
返済中の過払い金返還請求の場合は、「過払い金返還請求して戻ってきた金額」と「現在の借金額」によっては、任意整理したとみなされ、信用情報に傷がつく可能性があります。
過払い金が借金額を上回れば信用情報に傷はつかない
過払い金返還請求して戻ってきた金額=現在の借金額
または
過払い金返還請求して戻ってきた金額>現在の借金額
過払い金で借金がゼロ、またはお金が戻ってきた場合は、借金完済となるためブラックリストには載りません。
厳密にいえば、貸金業者によっては一時的に信用情報機関に「任意整理」の情報が登録がされる可能性があります。ただし登録期間は、過払い金返還請求手続きの開始から完了までです。
過払い金が借金額を下回った場合のみ信用に傷がつく可能性がある
過払い金返還請求して戻ってきた金額<現在の借金額
過払い金返還請求して、返金されたものの借金の一部が残ってしますケースに限り、信用情報に傷がつく可能性があります。
このケースでは、手続き上「任意整理」したとみなされ、信用情報に傷がつく(=ブラックリストに載ってしまう)可能性があります。
「信用情報に傷がつく」とはどんな状態?
「信用情報に傷がつく」とは信用情報機関に「事故情報」としてネガティブな情報が登録されることをいいます。「ブラックリストに登録される」も同じ意味で使われています。
消費者金融やクレジットカード会社などが利用者を審査するときは、信用情報機関に問い合わせて、支払い能力があるかどうかチェックします。
そのため、事故情報が登録されると約5年間
- ローンやキャッシングが利用できない
- クレジットカードの発行ができない
- 奨学金が利用できない
- スマホ、携帯端末の分割払いができない
可能性があります。
“社内ブラック”に登録される可能性も…
「完済してから過払い金返還請求をする」「過払い金で借金を完済できる」方であっても、必ずしも例外的にデメリットが発生するケースはあります。
それは、“社内ブラック”と呼ばれる、貸金業者が独自に保管している個人の信用情報です。
社内ブラックの存在については、どの貸金業者も公表しているわけではありません。しかし「過去に過払い金返還請求をした会社のグループ会社のクレジットカードの審査に落ちた」といったケースもあるため、注意すべきでしょう。
返還金よりも費用がかかってしまうケースもある
過払い金が発生していたとしても、その金額が少額だった場合は請求する意味がありません。
過払い金が発生するのは、利息制限法で定められた上限金利(15%~20%※元本により異なる)を超える金利、いわゆるグレーゾーン金利で支払った場合です。
過払い金を計算するためには、貸金業者から取引履歴を開示してもらい、実際に支払った利息と、利息制限法で定められた金利の利息を差し引きます。
こうした引き直し再計算を含めて、過払い金返還請求の手続きを弁護士や司法書士に依頼される方もいます。その場合は弁護士や司法書士に支払う費用が必要になります。
あくまで目安ですが、過払い金の返還請求の手続きにかかる弁護士・司法書士への費用は以下のとおりです。
過払い金にかかる弁護士・司法書士費用(目安)
着手金 |
1社につき2万円〜3万円 |
解決報酬金 |
1社につき2万円〜3万円 |
過払い金報酬 |
(和解時)返還された金額の20%
(訴訟時)返還された金額の30%
|
もちろん、弁護士や司法書士に依頼する前の相談時に、過払い金返金額がどれほどになるのかはおおよそ計算してもらえます。
弁護士・司法書士事務所の中には「相談料は無料」としている事務所もあります。正式に請求するかどうかはそのときに判断できますので、相談することを検討してみてはいかがでしょうか?
過払い金が発生する条件
「実際に自分に過い払金が発生しているのかわからない」
弁護士や司法書士に依頼するとしても、事前に発生しているのかどうかは知っておきたいところ。ここでは過払い金発生条件についてお伝えしていきます。
貸金業法改正以前に借り入れた
過払い金が発生するのは、利息制限法で定められた上限金利(15%~20%※元金により異なる)を超える金利、いわゆるグレーゾーン金利での取引があった場合です。
グレーゾーン金利は2010年の6月17日の貸金業法改正により撤廃されたため、それ以前に取引していたら発生している可能性があります。
例えば2009年に借り入れをし、72回払いで返済をしていた方は2009~2015年の間、グレーゾーン金利でずっと、返済していたことになります。
時効を迎えていない
過払い金には時効があり、民法167条で10年と定められています。
時効の起算点は判例によると、最後に取引した日、つまり完済日になります。
また完済日から10年を経過しても、そのあとに「少しだけ借りた」履歴があれば、その日が最後に取引したとみなされます。
なお現在も返済を続けている方は、時効の心配はありません。
貸金業者が倒産していない
貸金業者の中には倒産や業務縮小などで現在は営業停止・廃業している会社があります。
貸金業者がすでに倒産をしていた場合、過払い金の回収はほぼ絶望的といえます。
近年、倒産した代表的な貸金業者は以下のとおりです。
- 武富士
- SFコーポレーション(三和ファイナンス)
- アエル(日立信販)
- 丸和商事(ニコニコクレジット)
過払い金には民法404条に基づき年5%の利息がつくため、より多く受け取りたいと考えるのであれば、待つ方が得策かもしれません。しかし過払い金には10年経つと時効になる、貸金業者が倒産するといった可能性があります。
過払い金の心当たりがある方は過払い金返還請求を検討されてみてはいかがでしょうか?。
まとめ
これまで多くの方が過払い金返還請求を行っており、お金を取り戻せています。
過払い金返還請求は原則デメリットはなく、返済中の方で払い戻し金で完済できないケースのみ信用情報に傷がつく可能性があります。
ほかにも弁護士や司法書士に依頼する場合、過払い金の手続きにも費用が必要になりますので、払い戻し金が少額であれば、請求する意味がなくなるケースもあります。
しかし弁護士や司法書士に相談した場合過払い金が発生しているか計算してくれ、過払い金返還請求の手続きを任せることができます。
自分の計算に自信がない場合や、手続きの進め方がわからない場合は、弁護士や司法書士に相談することも検討してみてはいかがでしょうか?
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