自己破産後でも住宅ローンは組める?審査に通るためにすべきこと
2021.08.29 更新
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この記事のポイント
自己破産後、最低でも5年以上経たないとローンの審査に通りません。 さらに、自己破産により住宅ローンの返済が免除される代わりに、家は処分されてしまいます。 「住宅ローンは払えないけど、どうしても自宅を残したい」という人には、自己破産以外にも「任意整理」や「個人再生」という解決方法があります。 弁護士などの専門家に相談して、自分の状況に即した解決方法を教えてもらうのも一つの方法です。
目次
自己破産後でも住宅ローンの審査に通るの?
残念ながら、自己破産後すぐには住宅ローンの審査は通りません。住宅ローンが組めるようになるには、自己破産後、5年~10年経過していなければなりません。
なぜなら、ブラックリスト状態になるためです。
銀行やローン会社などの貸金業者は、審査の時に対象者の信用情報を参照します。
ブラックリスト状態とは
クレジットカードやローンを滞納したり、自己破産などの債務整理をすることで個人信用情報機関に事故情報が登録されている状態のこと。信用情報とは
クレジットやローンなどの信用取引に関する契約内容や返済・支払状況・利用残高などの客観的取引事実を表す情報のこと。「債務整理をしたことがある」など信用情報にネガティブな内容が登録されていると、信用力がないと判断され審査に通らないのです。
よって、住宅ローンをはじめとするさまざまなローン、キャッシング、クレジットカードなどは全て利用できなくなります。
ただし、事故情報は5〜10年経つと消去されます。
このため、情報がリセットされる5〜10年後以降は住宅ローンも新たに組める可能性があります。
信用情報機関は国内に3つあります。
信用情報機関ごとに記録年数は異なりますが、以下がその期間です。
信用情報機関 | 加盟会社/金融機関 | 事故情報の記録年数 |
---|---|---|
CIC | 信販会社・カード会社 | 5年 |
JICC | 消費者金融・カード会社 | 5年 |
KSC(全銀協) | 全国の銀行 | 10年 |
CIC・JICCなら5年、KSCなら10年で事故情報は削除されます。
住宅ローンの審査に通るためにすべきこと3つ
自己破産で登録された事故情報が消えた後に、新しく住宅ローンを組みやすくすることはできるのでしょうか?
住宅ローンの審査は通常、事前審査と本審査の2段階で行われます。本審査は事前審査よりも詳細なチェックが行われるので、事前審査が通っても油断は禁物です。
以下では、自己破産してから5年以上が経った後、少しでも早く住宅ローンを組めるようにする方法と審査に向けた対策について説明します。
- 信用情報機関に開示請求して事故情報が消えたか確認する
- クレジットヒストリーを蓄積する
- 住宅ローン審査が通りやすい金融機関を選ぶ
1.信用情報機関に問い合わせて事故情報が消えたか確認する
まず最初に行うべきは、信用情報機関に情報の開示請求をして、本当に事故情報が消えたかどうか確かめることです。
上述の信用情報機関ですが、通常、それぞれの機関は一定の期間(CIC・JICCなら5年、KSCなら10年)が経てば事故情報を削除します。
しかし、自己破産したときの債権者(貸金業者など)から削除が依頼されるわけではないため、事故情報がそのまま残る場合があります。特に、債権者が多い場合に起こる可能性があります。
事故情報が残ったままだと、住宅ローンの審査にも通りません。
2.クレジットヒストリーを蓄積する
事故情報が消えたことを確認し、いきなり住宅ローンを申し込んで審査に通るのでしょうか?
実は、この段階ではまだ審査に通る可能性は高くありません。
事故情報が登録されていた何年もの間、クレジットヒストリー(クレヒス)がなかったためです。
クレヒスとは
過去にクレジットカードやローンを利用してきた履歴のこと。クレヒスがない状態では、ローンの申込者が今までローンの審査に通った、ローンを利用してきたという事実をローン会社は確認できません。
そのため、住宅ローンの審査に通る確率を上げるためには、ある程度クレヒスを積み重ねる(クレヒス修行をする)ことが賢明です。
そこで、住宅ローンを申し込む前にできるクレヒスを積み重ねる方法を2つ紹介します。
- 携帯電話の代金を分割で払い続ける
- クレジットカードを申し込んで滞納せずに返済し続ける
1.携帯電話の代金を分割で払い続ける
携帯電話の契約を分割払いで結ぶ際には、携帯電話会社はCIC・JICCなど自らが加盟している機関の信用情報を照会します。
そのため、料金をきちんと払い続けると良いクレヒスが蓄積されて信用力が上がり、逆に滞納してしまうと悪いクレヒスが蓄積されて信用力が低下します。
住宅ローンの審査で信用力をアピールするためにも、携帯電話の料金は滞納しないで払い続けましょう。
2.クレジットカードを申し込んで滞納せずに返済し続ける
携帯電話の分割払い契約と同様に、クレジットカードを作る際もカード会社は信用情報機関の情報を照会します。
そのため、良質なクレヒスを積み重ねるためにはクレジットカードの返済を続けることが理想的といえます。
なお、クレジットカードも自己破産後5年以上は新しく作れないことに注意しましょう。
CIC・JICCに登録された事故情報は5年経つと通常消えるので、カードは5年以上経つまで申し込むべきではありません。 申し込むカードについては、銀行系でないカードを選びましょう。
銀行系のカードは、事故情報が10年間保存されるKSC(全銀協)の情報を照会することがほとんどで、自己破産後5年では審査に通る可能性が低いからです。
銀行系のカードとは、三菱UFJカードや三井住友カードなど、銀行が発行するクレジットカードのことを指します。
3.住宅ローンの審査が通りやすい金融機関を選ぶ
ノンバンク系なら5年経つと住宅ローンが組める
ノンバンク系とは、銀行系列ではなく住宅ローンのみを扱っている金融機関です。
信用情報機関 | 加盟会社/金融機関 | 事故情報の記録年数 |
---|---|---|
CIC | 信販会社・カード会社 | 5年 |
JICC | 消費者金融・カード会社 | 5年 |
KSC(全銀協) | 全国の銀行 | 10年 |
ノンバンク系は信用情報を確認する際、JICCを使っているため5年でブラックリストから消えますが、銀行はKSCを使っているため10年かかります。
そして、ノンバンク系の金融機関の一部はKSCの信用情報を照会しない可能性があるので、5年経つと住宅ローンの審査に通ることがあります。
ノンバンク系の住宅ローン会社は、例えば以下のようなものがあります。
- アルヒ株式会社(旧SBIモーゲージ)
- トヨタファイナンス
- オリックス
- クレディセゾン
- 日本住宅ローン
- 協同住宅ローン
「フラット35」は自己破産歴のある人でも比較的組みやすい
また、自己破産歴があっても比較的利用しやすいのが「フラット35」というローンです。 参照:フラット35の公式HP
フラット35は「住宅金融支援機構」という機関が運用する住宅ローンです。
特徴として挙げられるのは、自己破産歴があるからといって一概に審査に通らないわけではないということです。 審査は例えば以下の要素を総合的に考慮して行われるため、属性が良ければ通る可能性があります。
- 自己資金(頭金)の額
- 年収
- 勤務先
- 勤続年数
- 返済比率
- 年齢
- 信用情報
- 破産歴
様々な住宅ローンがありますが、それぞれの特徴を比較しながらよく理解して検討しましょう。
住宅ローンを抱えている人が自己破産するとどうなる?
返済義務はなくなるが、自宅は手放すことになる
自己破産をして免責が認められると、住宅ローンの返済義務はなくなります。
ただし、持ち家は没収されてしまいます。
なぜなら自己破産では、住宅ローンだけを残して他の借金を免除してもらうことはできないからです。
結局、住宅ローンなど全ての借金が自己破産の対象として免責され、代わりに住宅を競売にかけられることになります。
持ち家などの財産を失う以外の「自己破産のデメリット」について
自己破産すると連帯保証人が代わりにローン返済しなければならない可能性がある
自己破産が認められて自分自身は住宅ローンの返済が免責された場合、連帯保証人はどうなるのでしょうか?
残念ながら、ローンの残債を回収できた場合や保証会社を利用していた場合を除き、連帯保証人にはローンを返済する義務が残ります。
同様に連帯債務者も住宅ローンの返済義務が課せられます。
それどころか、保証人のところへ支払いの一括請求がいき、迷惑をかけてしまうということにもなりかねません。
住宅ローンを残していて自己破産を検討する際は、連帯保証人や連帯債務者に及ぶ影響を考える必要があります。
住宅を手放さずに借金を解決する2つの方法
では住宅ローンの支払いを残している人には、自己破産以外で借金を整理する方法はないのでしょうか?
実は、自己破産以外にも「任意整理」や「個人再生」といった手続きがあります。
- 整理する借金が選べる任意整理をして自宅を手元に残す
- 個人再生をして他の借金を減額して住宅ローンを払い続ける
2つの方法を以下で詳しく説明します。
1.整理する借金が選べる任意整理をして自宅を手元に残す
任意整理とは、それぞれの債権者との間で裁判所を介さずに話し合いを行い、借金の総額や利息、返済方法などを見直す手続きです。
整理する借金を選べるので、「住宅ローンは払い続ける代わりに、家は残してもらう」ということができる借金の整理方法です。
例えば、以下のように整理する借金を選べます。
- 消費者金融の借入 ⇒ 整理する
- クレカのキャッシング枠 ⇒ 整理する
- 住宅ローン ⇒ 整理しない
ただし、任意整理は債権者との話し合いによって減る額が変わるので、大幅に借金を減額することはできないケースも少なくありません。
一方、自己破産は差し押さえや職業制限のようなデメリットがあるものの、借金を0円にすることが可能です。
2.個人再生をして他の借金を減額してローンを払い続ける
個人再生は、借金を減額(通常5分の1)して、分割(通常3年間)で返済していく裁判所の手続きです。
個人再生には、以下のような特徴があります。
- 任意整理よりも借金が大幅に減額される
- 対象とする債務を選べない
- 手続きが複雑である
原則、整理対象とする債務を選べませんが、「住宅ローン特則」を使うと住宅ローン以外の借金を大幅に減らすことができます。
住宅ローン特則を使うと、住宅ローンは減らさずに払い続けることを条件に、持ち家を残すことができます。
一方自己破産は借金を帳消しにしてもらう代わりに、持ち家を手放してしまうことになります。
住宅ローン特則利用の条件を満たしているかを確実に把握するには、法律の専門家である弁護士に相談してみるのが方法の一つです。
それでも住宅ローンが払えない人は任意売却でローンを返済する
住宅ローンが払えず自己破産を考えている人はその前に「任意売却」という手続きも考えてみましょう。
「任意売却」では、自宅を売却することでローンを返済し、残ったローンの金額をどのような計画で返済していくのかを債権者と話し合います。
任意売却について詳しいことは「もう限界!住宅ローンが払えない場合の選択肢2つとNG行動3つ」をご覧ください。
住宅ローンが払えないとき自己破産をしたほうがいいかどうかは状況によって違ってくるのです。
【まとめ】自己破産に限らない住宅ローンの整理方法
これまでのポイントをおさらいすると、以下の通りです。- 自己破産すると5年以上は住宅ローンの審査に通りにくい
- 自己破産すると自宅を手放すことになり、連帯保証人に請求がくる可能性がある
- 家を残して住宅ローンを返済する債務整理の方法が、2つある
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2017.12.05 公開