「滞納を続けていると、どうなってしまうのだろう…」
「ずっと滞納していると、裁判所から督促状が届くってホント?」
借金が増え毎月の返済額が多くなると、返済が追いつかず滞納することもあると思います。
しかし、滞納した状態のまま放置してしまうことはよくありません。
返済を求める督促状が届き、それでも放っておくと、最終的に裁判を起こされてしまうこともあります。
裁判になると、全額の一括返済を要求されたり、給料や預貯金などの財産を差押えられてしまいます。
このような事態は、早めに対処することで回避できる場合もあります。
この記事では、借金を滞納している場合の適切といえる対処法についてご紹介します。
以下では、借金の滞納を放置してしまった場合、何が起こるかについて説明していきます。
借金を滞納すると、消費者金融やカード会社から督促状(一括請求通知)が届く
借金の返済を滞納すると、なにが起きるのでしょうか。
まずは貸金業者(債権者)から、電話やハガキによる督促が行われます。
この時点で、しっかり返済すれば特に問題になりません。
しかし、2~3ヶ月ほど督促に応じないと、次のステップへ進みます。
貸金業者によっては内容証明郵便で、残高の一括請求通知が届くことがあります。
一括請求通知には、借金残金の全額と遅延損害金を一括で返済するよう記載されていることが一般的です。
これは、貸金業者との契約書に、一定期間滞納すると一括返済を要求するという内容が記載されているためです。
このとき請求される金額には、遅延損害金も加算されています。遅延損害金の額は、以下の計算式で求められます。
1日あたりの遅延損害金の計算方法=借入残高×遅延損害金利率÷365(日)×延滞日数
さらに「支払いがない場合には、裁判をして給料などの差押えをする」といった内容が書かれている場合もあります。
この段階では、新たに借り入れ(キャッシングやクレジットカードの利用)ができない状態になっていることが多いです。
一括請求通知の送付に使われる内容証明郵便とは「どんな内容の文書を誰宛てに差し出したか」を、郵便局が証明する郵便です。
債権者が確かに請求をしたという事実が証拠として残るため、「そんな郵便は受け取っていない」といった主張は難しくなります。
内容証明郵便が届いた場合は、捨てたり失くしたりしないようにしましょう。
督促状(一括請求通知)が届いたら、すぐ対応したほうがいい
貸金業者から内容証明郵便で一括請求通知が届いた場合、これを無視しているとどうなるのでしょうか。
一括請求書通知には「いつまでに残金と遅延損害金を一括で支払わない場合には、裁判をする」という内容が記載されていることが多いです。
これを無視していると本当に裁判を起こされてしまう可能性があります。
一括請求通知を放置していると、本当に裁判を起こされてしまう可能性があります。
そうなんですね。裁判ですか…。
裁判所からの封書が目にとまれば、家族にバレてしまいそうですし…。
そのため、督促状が届いたら放置せずに対処したほうがいいでしょう。
滞納している借金を返済できない場合は、弁護士や司法書士に相談するなどの解決に向けた行動を起こす必要があります。
次の章では、弁護士や司法書士に依頼して借金滞納を解決する方法を紹介します。
裁判を回避するには、債務整理という方法もある
前述したように、借金の返済を滞納し続けていると最終的に裁判を起こされる場合があります。
それを回避できる方法の一つに「債務整理」があります。
債務整理とは、借金を減額したりゼロにすることも可能な方法です。
債務整理には「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」という4種類があります。
「任意整理」とは、債権者と話し合って返済額を減らしてもらう交渉です。
将来利息や遅延損害金をカットしてもらうなどして、借金総額を減額できる可能性があります。
弁護士や司法書士に任意整理の手続きを依頼すると、原則として督促や一括請求は止まります。
すでに裁判所から訴状が届いた場合や、債権者からの差押えが執行されている場合には、「個人再生」や「自己破産」の手続きで対処することができます。
給与差押えの場合は、自己破産することで強制執行を停止することができます。
個人再生や自己破産の手続き開始決定後は、債権者は新たに差押えの申立てはできません。
また個人再生や自己破産は、借金を減額や免除してもらえるので、借金額が多い人にはメリットが大きいといえます。
債務整理を行う場合は、督促や一括請求通知が届いた場合、裁判所から訴状や差押え通知が届いている場合など、状況に応じた手続きを行う必要があります。
適切な債務整理の手続きを選ぶためには、法律の専門家である弁護士や司法書士に相談することも一つの手段といえるでしょう。
借金を滞納し督促を無視してしまうと裁判で訴えられる可能性がある
借金を滞納すると、先に説明したとおり貸金業者から一括請求通知(督促状)が届きますが、これも放置していると
貸金業者などの債権者から裁判を起こされる可能性があります。
その際に裁判所から届いた書類が「訴状」か「支払督促」かによって、その後の手続きの仕方が異なります。
以下に二つの書類について詳しく説明していきます。
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訴状 |
支払督促 |
手続きの内容 |
原則として、債権者と滞納者本人が裁判所に出向く必要がある。訴訟の結果、滞納者に返済を命じる判決が下りる。 |
裁判所から「仮執行宣言付支払督促」が滞納者のもとに送られる。債権者や滞納者が裁判所に出向く必要がなく、書類審査のみで滞納者に返済を命じる処分が下されてしまう。 |
提出すべき書類 |
答弁書 |
異議申立書 |
対応せず無視すると? |
訴状に書いてある債権者の言い分をすべて認めたことになり、一括払いを命じるの内容の判決が下りてしまい、この支払いができないと財産を差し押さえられてしまう状況になる。 |
債務者の手元に支払督促申立書が届いてから2週間以内に異議が出ない場合には、財産を差し押さえられてしまう状況になる。 |
裁判所から届いた書類が「訴状」の場合
- 訴状とは
債権者が裁判を起こしたときに、裁判所から訴えられた債務者に対して送られてくる書類
訴状が送られてきた場合、同封されている書類がいくつかあります。
それは、口頭弁論期日呼出状や答弁書です。
- 口頭弁論期日呼出状とは
裁判期日への呼出状のこと
裁判になると原則として裁判の当事者は、裁判所に指定された時間に出廷しないといけません。
口頭弁論期日呼出状には、口頭弁論が開かれる日時と場所が書かれているので、指定された時間に、指定場所へと出廷することになります。
- 答弁書とは
訴状に対して自分の意見を書き入れて提出するための書類
例えば分割払いによる和解を希望するのであれば、その旨を答弁書に記載して提出すれば、裁判所で分割払いを前提とした和解手続きを進めることも可能になります。
しかし、この答弁書に借金を滞納した本人が分割払いを希望することを記入して提出しても、希望通りにならない場合もあります。
そのため、一括返済ができない場合には弁護士に相談するなどして任意整理の手続きをするのも一つの方法です。
任意整理をすれば、支払いを分割払いにしてもらう、将来利息をカットしてもらうなどの可能性もあります。
裁判所から届いた書類が「支払督促」の場合
支払督促申立書が送られてきてから2週間以内に異議申立てをしなかった場合、差押えの可能性があります。
差押えは、自分名義の預貯金や生命保険、不動産や株券などが対象になります。
勤務先を知られている場合には、給料や退職金も差押えの対象になります。
裁判所からの支払督促や差押え通知が届いたら、できるだけ早く弁護士・司法書士事務所に相談するなどの解決への対応が必要です。
借金を滞納して督促を無視し続けていると最終的に財産が差押えられてしまうんですね。
そうなんです。
そのため、借金の返済が厳しくなったら早めに対策を講じる必要があるのです。
しかし、自動車ローンや住宅ローンといった生活に関わるもののローンに対して債務整理をしたら財産として回収されてしまいませんか?
住宅や車を回収されないために、それらのローンを債務整理の対象とせず、債務整理手続から外す方法があります。
この債務整理手続きは任意整理と呼ばれ、対象とする債権者を選べるので住宅や車のローン会社を外して他の借金だけを対象とすれば回収されて返済に充てられずに済みます。
そうだったんですね。各個人に合った解決方法があるんですね!
時効の成立はほぼ期待できない!その理由とは
そういえば、借金を返済せずに放置しているといずれ借金は時効になりますよね?
時効を待って借金を解決することはできるものなのでしょうか。
借金が時効になる間際に裁判を起こされ時効が更新されることがほとんど
借金を滞納していても債権者からの返済請求がまったくない場合、そのまま債権者が支払い請求をせずに消滅時効期間が経過すると、その借金は時効消滅します。
その期間は原則として5年です。
しかし、実際には時効が完成することはさほど多くはありません。
それは、債権者が裁判を起こすなどして時効を更新するからです。
実際に長期間まったく督促がなかった場合でも、時効完成間際になってから債権者が突然訴訟を起こしてくるケースもあります。
そうなると時効が成立するまでの期間がリセットされてしまいます(この時効期間がリセットされることを「時効の更新」といいます)。
また、債権者に住所を知られていなくても裁判をされる可能性はあります。
裁判には公示送達という方法があり、これを利用すると相手方の住所がわからなくても裁判ができるからです。
そして、公示送達による裁判が行われると債務者のもとに訴状が届きません。
よって、債務者が知らない間に裁判が起こされて時効が更新されてしまうこともあります。
そうなんです。
結局裁判を起こされて多額の債務が残ってしまう場合が多いので、消滅時効による借金の解決を検討することはおすすめできませんね。