保証人がついている借金を債務整理した場合、保証人に請求がいくなど迷惑をかけてしまうことがあります。
このページでは「借金を債務整理した時に保証人に影響すること」「債務整理をした人が保証人になれるのか」についてご説明します。
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2021.08.29 更新
保証人がついている借金を債務整理した場合、保証人に請求がいくなど迷惑をかけてしまうことがあります。
このページでは「借金を債務整理した時に保証人に影響すること」「債務整理をした人が保証人になれるのか」についてご説明します。
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目次
そもそも、保証人とはどのような人なのでしょうか。
保証人になるとどのような責任が発生するのかも知っておく必要があります。
保証人とは、主債務者(借金をした本人)が借金の支払いをしなくなった場合に備えて、代わりに借金返済をしないといけない義務を負う人のことです。
お金を貸し付ける際には、主債務者から返済を受けることが前提になっていますが、主債務者が本当に返済をしてくれるとは限りません。
そこで、別に保証人をつけることによって、借金などの債務が必ず返済されるように担保しているのです。
保証人になるための条件としては、契約を締結する能力があれば誰でも可能です。
たとえば未成年が単独で保証人になろうとしても認められませんが、通常の判断能力のある大人なら、誰でも保証人になることができます。
保証人には、連帯保証人と通常の保証人の2種類があります。この2つは、どのように異なるのでしょうか。
連帯保証人とは、通常の保証人よりも責任を強化された保証人のことです。
たとえば、連帯保証人は、債権者からの請求を受けた場合に「先に主債務者に請求するように」とか「先に主債務者の財産から取り立てをするように」などと言って、支払を拒むことはできません。
これに対して、通常の保証人の場合には、債権者から請求を受けた場合に、「先に主債務者に請求するように」とか、「先に主債務者の財産から取り立てをするように」と言って、支払いを断ることもできます。
このように、「先に主債務者に請求をするように」と言って支払いを断ることを、催告の抗弁権と言います。
そして「先に主債務者の財産から取り立てをするように」と言って支払いを断ることを、検索の抗弁権と言います。
通常の保証人には催告の抗弁権や検索の抗弁権がありますが、連帯保証人にはこれが認められていないのです。
また、通常の保証人には負担部分が発生することがあります。たとえば借金額が100万円の場合に保証人が2人いたら、1人1人の保証人の負担部分が50万円となります。
この場合には、債権者が保証人に債務の支払を求めたとき、保証人は50万円を超える部分の支払を断ることができます。あくまでその保証人の負担部分は50万円までだからです。
このように、保証人が複数いる場合に各保証人によって借金の負担部分が分割されて減額されることを分別の利益と言いますが、通常の保証人にはこれが認められるのに対し、連帯保証人には分別の利益がありません。
よって、連帯保証人の場合には、債権者からの支払い請求があったら、常に全額の支払いの必要があります。 通常の保証人のように「私の負担部分は50万円だから、それ以上は支払わない」と言って支払いを断ることはできないのです。
このように、連帯保証人には催告の抗弁権も検索の抗弁権も分別の利益も認められないので、通常の保証人よりも相当その責任が重くなっているのです。 日本では、ほとんどのケースで連帯保証人が採用されています。よって、身近で「保証人」と言う場合には、通常「連帯保証人」を意味すると考えるとよいでしょう。
個人再生や自己破産をすると、必ず保証人に迷惑をかけることになります。 個人再生や自己破産では、すべての債権者を平等に扱わなければならないという債権者平等の原則が働くので、特定の債権者を対象から外すことができません。よって、すべての借金を手続きの対象にする必要があります。
保証人(連帯保証人)がついている借金を債務整理すると、債権者は保証人に対して借金支払の請求をしてきます。この場合、借金の分割払いができなくなるので、借金残金の一括払い請求になるのが普通です。
自分が自己破産や個人再生をしても、保証人の保証債務は減額されたり免責されないので、保証人は債権者からの請求を断ることができません。
よって、保証人は債権者に対して借金残金の全額の支払いをしなければならなくなるのです。もし保証人もその支払いができないなら、保証人自身も自己破産などの債務整理をする必要があるかもしれません。
任意整理や特定調停を利用すれば、保証人に迷惑をかけずに済む方法があります。
任意整理や特定調停をする場合には、保証人がついている借金を外してそれ以外の借金だけを整理の対象にすれば良いのです。そのようにして、保証人がついている借金については自分がそのまま支払を続ければ、債権者が保証人に対して支払いの請求をすることもなく、保証人に迷惑をかけることを避けられます。
もちろん、任意整理や特定調停を利用する場合でも保証人がついている借金を対象にすることができます。そうすると、やはり債権者は保証人に対して借金の一括請求をしてしまいます。そこで、これらの手続きを利用する場合、主債務者と保証人が同時に同じ手続きを利用する事によって、保証人に迷惑をかけずに済ませる方法もあります。
保証人が債務整理をすると、保証人もブラック状態(いわゆるブラックリストに載る)になります。
債務整理をすると、信用情報機関が保有している個人信用情報に事故情報が記録されてしまいます。消費者金融や銀行などの貸金業者は、貸し付けの審査をする際に個人信用情報を参照します。そのときに事故情報が記録されていると、融資の審査にとおらなくなります。このように個人信用情報に事故情報が記録されて融資の審査に通らなくなった状態のことを、俗にブラック状態と言っています。
債務整理をすると、ブラック状態になりますが、保証人が任意整理や特定調停などの債務整理手続きを利用すると、当然保証人もブラック状態になってしまうのです。
そうなると、保証人自身がローンやキャッシング、クレジットカードなどの利用ができなくなってしまうので、注意が必要です。
保証人がブラック状態になってしまうのは、何も保証人が債務整理をした場合に限りません。
借金は、返済を滞納した場合にもブラック状態になってしまうからです。
主債務者が借金返済をせず、債権者が保証人(連帯保証人)に借金の一括返済を請求してきた場合、保証人がこれを支払えないケースがあります。この場合、保証人の個人信用情報に事故情報が記録されるので、保証人はやはりブラック状態になってしまいます。
結局、保証人がブラック状態になりたくなければ、保証人は借金を代わりに返済せざるを得ないのです。
この意味でも、債務整理をすると、やはり保証人には多大な迷惑をかけることになってしまいます。
完済した借金について過払い金返還請求をする場合は、保証人に迷惑をかけることはありません。なぜなら手続きをしても債権者が保証人に請求をすることがないからです。
ただし、借金を完済していない業者に対して過払い金を請求する場合は、保証人に迷惑がかかる恐れがありますので、注意が必要です。
保証人がついている借金を債務整理すると、債権者から保証人に請求が行われるので保証人に迷惑をかけることになってしまいますが、どのような借金でも保証人を立てなければならないわけではありません。
では、具体的にどのようなケースで保証人が必要になるのでしょうか。
消費者金融やクレジットカードのキャッシング、銀行カードローンなどの場合には、保証人を立てることはほとんどありません。銀行カードローンの場合には、消費者金融や信販会社が保証会社として保証人になっていることが多いです。
たとえば三菱UFJ銀行のカードローンにはアコムが保証会社になっていることが多いですが、この場合にカードローンの返済を滞納すると、アコムが三菱UFJ銀行に対して一括で借金残金を返済します。このことを代位弁済と言います。その上で、アコムが主債務者に対して、代位弁済した金額の全額を請求してきます。このことを、求償と言います。
一般的に連帯保証人などの保証人をつけることがある借金は、住宅ローンです。住宅ローンでも、単独借入や連帯債務の場合には連帯保証人はつけません。
ただ、夫婦の収入を合算して住宅ローン審査に通過しやすくするために、夫婦の一方を主債務者として、他方を連帯保証人とするケースがあります。この場合には、連帯保証人の問題が発生します。この場合に主債務者が債務整理をすると、債権者は、連帯保証人である配偶者に対し、住宅ローンの残金を一括請求してくるからです。
車のローンでも、通常は連帯保証人は不要です。
ただ、利用するローン会社やローン契約の内容などによっては、連帯保証人が必要になるケースもあり得ます。たとえばローンの利用者が未成年であったり、その人の勤続年数が1年未満の場合、収入が少ない場合や、車のローン以外に高額な借入がある場合、借入額が高額な場合などには連帯保証人が必要になることがあります。
ほとんど連帯保証人が必要になるケースがあります。それは、奨学金借入の場合です。奨学金も借金の一種ですが、奨学金を借り入れる際の主債務者は、奨学金を利用する学生自身です。よって、この場合には通常親などが連帯保証人や保証人となります。
奨学金(日本学生支援機構の奨学金など)を利用する場合に保証人をつける場合、機関保証という選択をすることもできます。機関保証とは、月額一定の保証料を支払うことによって、保証機関が奨学金支払いの保証をしてくれる制度のことです。奨学金借入の際に機関保証を選べば、親などに連帯保証人になってもらう必要はありません。
ただし、機関保証を利用すると、月額千円~数千円程度保証料がかかります。 また、機関保証を利用しない場合には、連帯保証人と保証人が必要です。 この場合、連帯保証人と保証人は、別々に選任する必要があります。 また、奨学金の返済を滞納した場合には、連帯保証人に先に請求がきて、その後保証人に請求がくることになります。
自分が債務整理をして借金問題を解決した場合、自分が連帯保証人などの保証人になることができなくなるのかという問題があります。 債務整理をすると、前述のとおり、ブラック状態になってしまい、各種のローンやクレジットカードなどの利用ができなくなります。債務整理をすると、個人信用情報に事故情報が記録されて、ローンやクレジットの審査に通らなくなってしまうからです。
ブラック状態になると、消費者金融のキャッシングやクレジットカードの発行、利用、住宅ローンや車のローンなどの各種のローンを利用する事ができなくなります。そして、連帯保証人などの保証人になることもできなくなります。
よって、債務整理をすると、自分が借入できなくなるだけではなく、一定期間は他者の借入の連帯保証人や保証人になることもできなくなります。たとえば、子どもが奨学金を借り入れる際の連帯保証人や保証人になることもできなくなるのです。
債務整理をしても、事故情報は永遠に消えないわけではありません。債務整理をした後の事故情報は、記録後一定期間が経てば消去されます。
債務整理によって事故情報が記録される期間は、債務整理の手続きの種類や各信用情報機関によって異なります。
任意整理や特定調停の場合には、信用情報機関に事故情報が記録される期間は、手続き後5年間です。ただし、手続き後の返済を遅延した場合には、その遅延解消日から5年の経過が必要になることがあります。
自己破産や個人再生の場合には、信用情報機関によって事故情報の記録期間が異なります。 CICとJICCの場合には、事故情報の記録期間は手続き後5年程度ですが、KSCの場合には、手続き後10年程度事故情報が保管されます。 よって、自己破産や個人再生をした後、銀行ローンの連帯保証人なろうとした場合などには、手続き後10年程度の経過が必要になることが原則となります。
債務整理をすると、個人信用情報に事故情報が記録されてブラック状態になるため、連帯保証人や保証人になることができません。このことは、ローンの種類によって異なることがあるのでしょうか。
ブラック状態になると、どの種類のローンであっても借金の連帯保証人になることはできません。たとえば住宅ローンでも車のローンでも銀行借入でも、奨学金借入でも、連帯保証人や保証人にもなることはできません。
消費者金融のキャッシングやクレジットカードによる借入、銀行カードローンなどでは、そもそも保証人が必要になることがほとんどないので、ブラック状態によって保証人になれないことは、問題にならないでしょう。
これらのローン関係の連帯保証人とは異なる連帯保証人があります。
それは、不動産の賃貸における連帯保証人です。賃貸アパートなどを借りる際には、家賃を滞納した場合などにそなえて連帯保証人を求められることが多いです。ブラック状態でも賃貸契約の保証人になることはできます。
信用情報機関の個人信用情報は、あくまで借入に関する信用の問題であり、不動産の賃貸契約とは無関係だからです。
賃貸契約の審査の際に、不動産会社や大家が個人信用情報を参照することもありません。
ただ、不動産の賃料支払い方法について、信販会社やクレジットカード会社を利用するタイプの賃貸契約があります。この場合には、信販会社やクレジットカード会社が、個人信用情報を調査するので、ブラック状態になっていると、連帯保証人になれないことが普通です。
よって、債務整理をしてブラック状態になっている場合に他者の賃貸契約の連帯保証人になりたいのであれば、家賃支払い方法に信販会社やクレジットカード会社を通さないタイプの契約を選ぶ必要があります。
以上のように、債務整理をすると、連帯保証人などの保証人には迷惑をかけることが多いです。しかし債務整理方法を工夫することによって、保証人に与えるダメージを少なくすることはできる可能性は高いです。
また、債務整理をすると他者の借入について連帯保証人などの保証人になることはできなくなりますが、奨学金借入などの場合には機関保証を利用する方法もあります。
よって、借金問題に苦しんでいる場合には、債務整理手続きによって解決することも選択肢の一つです。 無料相談を受け付けている法律事務所もあるので、弁護士や司法書士に相談することを検討しましょう。
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2017.11.30 公開