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債務整理の条件ってなに?その種類と基準

2021.12.28 更新

債務整理の条件がわからない
自分の借金総額は債務整理するべき金額なの?
どの手続きが自分に合っているの?

債務整理の条件は「借金総額」「収入」「返済能力」によって異なります。このページでは3つの債務整理の種類とそれぞれの手続き条件について解説します。

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債務整理の条件ってなんですか?

債務整理の条件を知る前に、まずは債務整理には「3つ」の種類があることを知っておきましょう。条件は後ほど説明しますね。

【最初に読んでほしい】債務整理には3つの種類がある

債務整理は3つの種類がある「任意整理」「個人再生」「自己破産」

債務整理の種類

債務整理の条件を知る前に、まずはそれぞれの特徴について知っておきましょう。

任意整理 裁判所を介さずに、債権者(貸金業者)との交渉によって将来の利息をカットし借金の返済額や借金の総額を見直す方法。リスクやデメリットが少なく、最も利用者が多い
個人再生 裁判所を通して、3年程度で完済できる金額に借金を圧縮する手続き。継続した収入を得ていることが条件。
自己破産 裁判所に、借金の返済ができないことを伝えることで、返済を免除してもらう手続き。借金はなくなるが、自分の財産も全てなくなるのでメリットもデメリットも大きい

おおまかな手続き内容は理解いただけたでしょうか?次にそれぞれの方法の条件とその方法に向いた人について解説します。

任意整理の条件と任意整理に向いている人の特徴

先生、任意整理ができる条件とは何でしょうか?
借金額の総額や、現在の収入といった条件があるのでしょうか?

気になりますよね。簡単にいうと任意整理をするための条件は「返済を3~5年間継続できるだけの収入」です。
それについて詳しく説明していきましょう。

任意整理の条件
  • 返済を3~5年間継続できるだけの収入
  • 過去に借りた借金を返済した履歴あり(全額じゃなくてもOK)
  • 返済の意思がある
任意整理に向いている人の特徴
  • 借金総額が100万円以上
  • 毎月安定した収入がある
  • 和解した金額を3~5年で返せる見込みがある
  • 返済の意志がある

上記に該当する人は任意整理を検討しましょう。借金が100万円以上と記載しましたが、実際は「3~5年以内に返済できるかどうか」が任意整理をするうえで重要となります。それ以上の返済期間が必要な場合は「個人再生」か「自己破産」を検討したほうがいいかもしれません。

簡易な手続きだけど、「安定した収入」や「返済を継続する意思」などが必要

任意整理をするための条件

条件が少ないとは⾔っても、最低限の条件を満たす必要があります。任意整理をする場合には、返済を継続していけるだけの最低限の収⼊が必要です。また、その収⼊は、ある程度安定している必要があります。
任意整理をすると、債権者と話し合って利息をカットし借⾦総額を減額してもらえる可能性がありますが、⼿続き後に 3~5年程度、債権者に対する⽀払いが継続します。⽀払い⽅法は、通常毎⽉の返済になります。この⽀払いを途中でできなくなると、任意整理に失敗してしまいます。

また、任意整理をする場合には、債務者側に返済を継続する意思が必要です。任意整理後は、3年~5年間の長い間返済が継続するので、それなりの忍耐が必要になります。

任意整理は条件が少なく手続きしやすい!

任意整理は、ほかの債務整理と⽐べると、手続きしやすい方法となります。ほかの債務整理⼿続きは、裁判所への申立てが必要になるし、⾃⼰破産や個⼈再⽣の場合には、必要書類も膨⼤になります。

また、⼿続きの進⾏中も、常に裁判所の指⽰に注意をして、その都度適切な対処をする必要があります。これらの債務整理に対して、任意整理は裁判所を介しません。債権者と直接交渉をするだけなので、必要書類もほとんどなく、⼿続きを進めます。⼿続きが簡易な分、満たさなければならない条件も少ないです。

任意整理ができない人

ただし、任意整理ができない⼈がいます。

まずは、収⼊がない⼈や少な過ぎる⼈です。任意整理の場合、⼿続き後に⽀払いが残るので、収⼊がなかったり、返済に不⼗分なほど少ない⼈はできません。

ただし、専業主婦であっても、夫の給料などから⽀払いができる場合には、任意整理ができます。次に、借⾦額が⼤き過ぎる⼈です。任意整理は、利息制限法を超過した利率での取引がない限り、借⾦額の⼤幅な減額は認められません。そこで、借⾦額があまりに⼤きいと、任意整理をすることができないのです。

借⾦額が少な過ぎる場合にも、任意整理をするメリットが少なくなってしまいます。任意整理では、借⾦額元本の減額は難しいのですが、将来の利息がカットできる可能性のある点がメリットです。

ところが、借⾦額が少ない場合には将来利息をカットできるとは⾔っても、微々たる⾦額になってしまい、ほとんど借⾦返済額が減らないからです。このようなことがあるので、「1 社からの借⾦額が20万円以下」の場合には任意整理ができない場合もあります。

借⾦額があまりに少ない場合には、任意整理ができない可能性があるので注意しましょう。

注意します!

個人再生や自己破産をするうえで必要とされる条件は?

任意整理の条件を満たさず手続きできない場合、個⼈再⽣や⾃⼰破産であれば手続きできるのでしょうか。個⼈再⽣とは、裁判所に申立てをして、借⾦返済額を⼤幅に減額してもらう⼿続きのことで、⾃⼰破産とは裁判所に申立てをして、借⾦返済義務を免除してもらう⼿続きのことです。これらの⼿続きではどのような条件が必要になるのでしょうか。

任意整理がダメなら、個人再生や自己破産という選択

個人再生をするための条件

個⼈再⽣をする場合、借⾦額に限度額があります。個⼈再⽣をするためには、借⾦が5000 万円以下でないといけません。これを超える⾦額の借⾦がある場合には、通常の⺠事再⽣⼿続きになります。

また、個⼈再⽣後には原則として3年間、債権者に対する⽀払いが継続します。この⽀払いは、おおよそ 3ヶ ⽉に 1 回になることが多いです。3 年間返済を継続できなければ、⼿続きに失敗してしまいます。そこで、個人再生をする場合にも、返済を継続できるだけの継続的で安定した収⼊が必要になります。収⼊は安定しているだけではなく、個⼈再⽣後の返済をするのに⼗分な⾦額であることも必要です。

個人再生は、裁判所を介した比較的厳格な手続きです。そこで、収入要件を満たしているかどうかについては、裁判所から厳しく審査されます。この場合、任意整理の場合よりも厳しく収入要件のチェックが行われます。よって、同じ返済額でも、任意整理ならできる場合でも個人再生はできないというケースも出てきます。

例えば専業主婦の場合、夫の給料から返済ができれば任意整理は可能ですが、⾃分⾃⾝の収⼊が 0(ゼロ)なので、個⼈再⽣はできません。個⼈再⽣を申立てると、⼿続き後に⽀払いが予定されているだけの⾦額について、毎⽉積み⽴てをする必要があります。この積み⽴てができない⼈は、⼿続き後の返済もできないとみなされて個⼈再⽣の再⽣計画案を認可してもらうことができません。このように、個⼈再⽣では収⼊要件が⾮常に重要になります。

個人再生ができないケース

個⼈再⽣ができない⼈は、どのような⼈なのでしょうか。

まずは、収⼊が不⼗分である⼈や収⼊がない⼈、安定していない⼈です。これらの⼈は、個⼈再⽣後の⽀払いを継続していくことが不可能とみなされるので、個⼈再⽣ができません。また、⽣活保護の受給者も個⼈再⽣はできません。⽣活保護を受給している場合、⾏政から⽣活保護のお⾦で借⾦返済をすることを禁じられるので⼿続き後の返済ができないからです。

さらに、借金額が5,000万円を超えている人も個人再生ができません。その場合には、通常の民事再生手続きをするか、自己破産をする必要があります。また、個人再生はその名のとおり個人が行うものなので、法人(会社など)はできません。会社が再生したい場合にも、やはり一般の民事再生手続きをすることになります。

自己破産をするための条件

次に、自己破産をするための条件について見てみましょう。自己破産をするためには、「返済不能状態であること」と、「免責不許可事由に該当しないこと」が必要です。

返済不能の条件

まず、返済不能について説明します。返済不能とは、現在の債務者の収⼊と⽀出、借⾦返済額などの状況からして、すでに借⾦返済を継続していくことが不可能になっている状態のことです。例えば、収⼊が⽉20万円で、家賃や光熱費、⾷費などの最低限必要な⽀出が15万円、借⾦返済額が10万円の場合には、常に毎⽉5万円が⾚字になるので、すでに返済不能状態になっているとみなされます。これに対して、上記の場合で借⾦返済額が3万円の場合には2万円の余剰があるので⽀払いを継続していけるとみなされる可能性が⾼いです。

免責不許可事由に該当しないことが必要

⾃⼰破産には、「免責不許可事由」があります。免責不許可事由とは、その事情があると、免責決定(借⾦をなくしてもらう決定)を受けられなくなる事情のことです。⾃⼰破産をする場合には、免責決定を得ることによって、はじめて借⾦をなくしてもらうことができます。そのため、免責不許可事由がある場合には、⾃⼰破産ができなくなるのです。

免責不許可事由には、例えば借⾦の原因が浪費やギャンブルなどの場合があります。ただし、⾃⼰破産には「裁量免責」という制度があります。裁量免責とは、免責不許可事由があっても、裁判所が事件を全体的に評価して、裁量によって免責を認める制度のことです。特に1回⽬の⾃⼰破産の場合には、免責不許可事由があってもこの裁量免責によって免責が認められることが多いといわれているので、免責不許可事由があるからといって、必ずしも⾃⼰破産できなくなるわけではありません。

2回目の自己破産の期間制限

⾃⼰破産をするための条件としては、期間の制限もあります。過去に⾃⼰破産をして免責決定を受けて確定している場合には、その後7年が経過するまでは新たに⾃⼰破産を申立てても免責が受けられません。

同様に、過去に「給与所得者等再⽣」の⼿続きをして、再⽣計画案が確定し、それに従って弁済を完了した場合には、再⽣計画案の認可決定後7年以内は⾃⼰破産の申立てをしても免責が受けられません。

このように、「過去7年以内に⾃⼰破産をした場合」や、「給与所得者等再⽣をした場合」にも、⾃⼰破産ができなくなります

財産を守りたい場合には自己破産できない

自己破産をすると、債務者名義の一部の財産がなくなります。主に、生命保険、車や不動産、動産、預貯金、給与などです。その中でも、給与と預貯金は差押えられやすいです。

自己破産する際に収入は不要

⾃⼰破産をする場合、任意整理や個⼈再⽣とは異なり、収⼊要件はまったく不要になります。⾃⼰破産が認められると、⼿続き後には⼀切返済が残らないので、⽀払い能⼒があるかどうかは問題にならないからです。無職・無収⼊の⼈や⽣活保護受給者でも、⾃⼰破産ができる場合があります。借⾦額が⼤き過ぎる⼈や収⼊が少な過ぎる⼈、収⼊が安定していないために任意整理や個人再生ができない⼈の場合、⾃⼰破産によって借⾦問題を解決することが効果的になるケースがあります。

過払い金返還請求の条件

債務整理の⼿続きには「過払い⾦返還請求」もあります。過払い⾦返還請求とは、過去に⾼利率な消費者⾦融会社やクレジットカードのキャッシングを利⽤していた場合に、払い過ぎた利息を取り戻すことができる⼿続きのことです。過払い⾦返還請求をするためにも、いくつか条件があります。

まずは、消費者金融会社やクレジットカード会社との間で、利息制限法を超過する利率での取引をしていたことです。2010年以前の取引であれば、制限利率を超過していた可能性があります。

次に、借⾦返済中に過払い⾦返還請求をする場合には、ある程度取引期間が継続している必要があります。2010年以前の取引が、数年程度は必要になることが多いです。さらに、借⾦完済後10年が経過していないことも必要です。過払い⾦返還請求権には時効があり、その時効期間は「借⾦の完済後10年」になるので、完済後10年が経過していると、消滅時効によって過払い⾦請求ができなくなってしまうからです。

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2021.12.27 公開

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