自己破産後の生活はどうなる?家や車は?困ること、変わらないこと
2021.08.29 更新
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この記事のポイント
- 自己破産すると、原則として家や車は失う
- 家族への影響はほとんどなく、会社をクビになることはない
- クレジットカードやローンの新規契約・借入れは数年間できない
目次
自己破産後は、日常生活にどのような変化がある?
自己破産をすると、どのように生活が変わるでしょうか。失うものや周囲への影響について見ていきましょう。
家や車は取り上げられる?財産の行方は…
自己破産が認められた場合、残念ながら家や車は失ってしまいます。
- 家を失う確率は極めて高い
- 家族(共同名義者)に、自己破産者の所有権部分を適正価格で買い取ってもらう
- 家族(共同名義者)の同意のもと、住宅全部を売却する
- 自己破産者が第三者から適正価格と同等の資金援助を受け、自己破産の配当に充てる
- 車の場合はローンの有無で状況が異なる
- 預貯金や現金も、一部を除き回収される
家(持ち家)は、住宅ローンが残っていればその返済のために換価処分(差し押さえた財産をお金に換えること)されます。住宅ローンを組む際に、家に抵当権が設定されているため、競売にかけられてしまうのです。
ローンを完済している場合は「管財事件」として差押えられ処分・換金されてしまうため、やはり持ち家を失う確率は極めて高いといえます。
競売で落札されると、一定期間内に退去を迫られるために、すぐにでも新たに住む家を見つける必要があります。
また、家が家族との共同名義であれば、自己破産者が所有権を持つ部分が競売の対象となります。
住宅を手放さないための方法は、以下の3つです。
これらの方法によって家を残すことは可能ですが、最終的な判断は裁判所が行うため、必ずしも希望どおりになるわけではありません。
一方、車の場合はローンの有無で状況がやや異なります。
ローンが残っている場合は、車はローン会社に引き上げられてしまいます。ローン支払い期間中は、車の所有者はローン会社名義となっている場合が多いからです。
ローンを完済している場合や現金で購入した場合は、車は没収され換価されてしまいます。
ただし、査定額が20万円以下の場合は「お金に換える価値がない」と見なされて手元に残ります。
預貯金も回収対象です。
自己破産者が所有するすべての銀行口座の預貯金合計で20万円を超える分は、すべて回収されます。
現金(紙幣や硬貨)については、99万円までは「生活に必要な現金」として手元に残すことが認められているものの、残りは手放さなければなりません。
保証人は、どのような影響がある?
自己破産する借金の契約に保証人や連帯保証人がいれば、影響は避けられません。
主債務者(借金の契約者)が自己破産すると、保証人や連帯保証人は一括返済を請求されます。
返済に応じられなければ、その人も自己破産して所有財産を失う可能性もあります。
職業や資格に、制限はある?
自己破産すると、一部職業において一定期間の就業制限を受けます。
具体的には下記のような職業です。制限を受ける期間は、一般的に3~6ヶ月とされています。
<制限を受ける主な職業や資格>
士業:弁護士、司法書士、行政書士、税理士、宅地建物取引士など
団体企業の役員:商工会議所、金融商品取引業、信用金庫など
会社役員:取締役、監査役など
その他:生命保険募集人、貸金業、警備員、建設業、風俗業管理者など
結婚はできない?相手にバレる?
自己破産しても、結婚することは可能です。結婚してはいけないという制限はありません。
しかし、自己破産すると国の機関紙である「官報」にその事実が載るため、絶対にバレないとは言い切れませんが、官報を見る人はあまり多くないので、結婚相手に自己破産の事実を知られる確率は低いといえるでしょう。
パスポートは取得できない?旅行もできない?
自己破産した後でも、パスポートを取得することは問題ありません。
国内外の旅行も自由にできます。
ただし、自己破産手続き中に海外旅行をする場合は、裁判所の許可が必要となります。
契約している保険は解約される?
積立型の生命保険など、解約した際に返戻金(戻ってくるお金)が20万円を超える場合は財産として見なされ、解約、換価されてしまう可能性があります。
返戻金が20万円以下の場合や、掛け捨て型保険の場合は解約になりません。
また自己破産した後に、新たに生命保険に加入することは可能です。
生活保護は受けられない?
自己破産後でも生活保護は受けることは可能です。
以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 生活を支援してくれる人がいない
- 家や車などの財産を所有していない
- 自治体が定めた基準よりも収入が低い
自己破産しても生活が苦しい場合は、新たな借金をするよりも、生活保護の申請を検討してください。
自己破産はデメリットもある債務整理手続きといえますが、一般的な生活においては大きな影響はありません。
「会社をクビになる」「逮捕される」「選挙権がなくなる」といったことはありません。
以下の章では、自己破産のデメリットを紹介します。
自己破産すると家族にも影響がある?会社にバレる?
自己破産による生活の変化がわかったところで、今度は家族や会社など、周囲に及ぼす影響について見ていきましょう。
家族の進学や就職にも悪影響がある?
自己破産しても、家族の進学や就職自体に悪影響はありません。
しかし、自己破産によって持ち家を失うため、引越しを余儀なくされる場合もあります。
その結果、お子さんの転校や配偶者の転職など、家族にも一定の影響が及ぶ場合もあります。
また、自己破産者が契約している学資目的の保険がある場合も、解約返戻金が20万円を超える場合は回収の対象となります。
お子さんのための教育資金も、気を取り直してまた貯め直すしかありません。
家族が連帯保証人になっていると、どうなる?
悪影響が及ぶ可能性があるのは、家族が保証人や連帯保証人になっているケースです。
自己破産者の家族がローンなどの連帯保証人になっていると、その人に一括返済を請求されます。
離婚していたとしても、一括返済の義務は消えないので注意が必要です。
勤務先の会社から借り入れしていると、自己破産がバレる?
勤務先の会社から借り入れしている場合は、自己破産の事実が知られてしまいます。会社は債権者となるので、裁判所から自己破産に関する情報が届いて知るところとなるのです。
しかし、自己破産が原因で解雇されることは、ほぼないでしょう。自己破産を理由に解雇することは「不当解雇」にあたるためです。
書類が家に届いて、家族にバレるリスクは?
自己破産に関する書類が自宅に届いて、家族にバレる可能性はあります。
裁判所からの郵便物が家族や近所の人の目にふれないように気をつける必要はあるでしょう。
しかし、弁護士や司法書士などの法律事務所へ自己破産手続きを依頼すれば、事務所宛に書類を郵送することも可能な場合もあります。
自己破産してもクレジットカードは使える?新規の借り入れは…?
自己破産すると、今使っているクレジットカードはどうなるのでしょうか。
また、新たにローンを組んで借り入れはできるのでしょうか。
今使っているクレジットカードは使えなくなる
自己破産をすると、その事実が信用情報機関に「事故情報」として登録され、いわゆる「ブラックリストに載る」状態になります。
そうなると、現在所有しているクレジットカードもいずれ使えなくなります。
また、新たにクレジットカードを契約することは、5~10年以上経って事故情報が消えないとできません。
その間は、事前に現金チャージや銀行口座からのチャージで使うプリペイドカードやデビッドカード、スマホ決済などを利用しましょう。
これらのカード(決済)は審査がないので、自己破産後も使えます。
新たな借り入れもできなくなる
自己破産をすると、住宅ローンや車のローンといった新たな借り入れはもちろん、スマホの分割払いなどもできなくなります。
「ブラックリストに載っている間」はこれらのローンは利用できないため、一括払いで購入するしかありません。
5~10年が経過して信用情報機関から事故情報が消えれば、また新たな借り入れを行うことも可能になります。
事故情報が消えたことを確認したい場合は、信用情報機関へ個人情報の開示請求を行うことで把握できます。
信用情報機関は「CIC」「JICC」「KSC(全国銀行個人信用情報センター)」の3つがあります。
CICとJICCの個人情報登録期間は5年程度、KSCは10年程度です。その期間を経過した時点で開示請求を行ってみるとよいでしょう。
事故情報が消えていれば、新たな借り入れができる可能性が高くなります。
銀行カードローンなどの借金が原因で自己破産した場合、その銀行の「銀行独自のブラックリスト」に載ってしまう可能性もあるようです。
その場合は、何年経ってもその銀行では新規ローンの審査に通らない場合もあるので、他行で審査を受けたほうがいいかもしれません。
【体験談】自己破産者…その後の生活はどうなる?
最後に、実際に自己破産した人の体験談を紹介します。
借金がなくなったことで、安心して生活を送っています(40代・男性)
わずか5年ほどで1,000万円を超える借金ができてしまいました。自分でそのツケを払うこともできず、自己破産という結果になってしまいました。
しかし、自己破産が認められ借金がなくなったことで、とても安心して生活を送れています。本当に自己破産をしてよかったと感じています。これからは、自分の収入の範囲内で生活を立て直して生きていこうと思っています。
数年間は借金できないが、1,200万円がゼロに(30代・男性)
私は現在フリーターとして働きながら、ギャンブル依存症の治療を受けています。自己破産をした後、数年間は借金をすることができませんが、またお金を借りることができるようになったときに、同じことを繰り返してしまっては意味がないのです。
そのために、借金をしてしまった原因を解決することが自分のすべきことだと考え生活しています。
最適な解決方法を、専門家に相談するのも有効
自己破産は新しい生活を後押しするための手続きであり、何もかもを失ってしまうものではありません。
しかし、持ち家や車などの財産を失い、家族や保証人(連帯保証人)に迷惑をかける、会社に知られるリスクがあるなど、デメリットがあることも事実です。
自己破産を検討する中で「自宅や車を失うのは困る」「会社に知られると困る」など事情のある方は、自己破産に踏み切る前に「任意整理」や「個人再生」など、別の債務整理によって手借金を減らせるか検討してみましょう。
借金の最適な解決方法は、個人の状況によって異なります。
個人では判断が難しいことが多いため、弁護士や司法書士など法律の専門家に相談し、アドバイスをもらうことを検討しましょう。
借金減額診断とは?
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