自己破産すると慰謝料も免除される?免責にならない非免責債権とは
2021.12.28 更新
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目次
相手が自己破産をしたら慰謝料や養育費はどうなるの?
自己破産とは、裁判上の手続によって、破産者の破たんした財産関係を清算することを意味します。破産者が破産した場合、基本的に破産者が負った債務は自然債務となるので、債権者が強制的に取り立てることはできなくなります。
しかし、養育費や慰謝料などはその制度趣旨から、自然債務にならないケースがほとんどです。
ほとんどの場合、慰謝料や養育費はもらうことができる
慰謝料や養育費の具体的な金額や支払方法は当事者間の契約で発生します。つまり、もらえる側からすれば「債権」ということになります。 慰謝料や養育費は、多くの場合自己破産による免責の対象にならず、破産者がその債務を免れることはできない場合が多い、ということになります。
自己破産によって免責になるものとならないものについてはこちら
たとえば元夫が自己破産することで慰謝料や子供の養育費がストップされれば元妻や子供は生活できなくなります。そこで妻子の生存の保護、及び、憲法13条で保証されている幸福追求権の観点から、養育費は免除されず、そのまま受け取ることができるとされています。慰謝料についても多くの場合、同様ですが、若干の例外があることに注意が必要です。
このように自己破産をしても破産者がその債権の趣旨からして免除されない債権を非免責債権といいいます。
全額回収することは難しい
慰謝料や養育費については非免責債権ですので、債務者が破産したからといって債権者が債務者に対してこれらの支払いを請求できなくなるわけではありません。
もっとも、これはあくまで法的に請求できるかできないか、という次元の話であり、実際に債務者が支払えるかどうか、という事象とは全くの別問題ということになります。債務者は破産するほどの経済状況なわけですから、全額の回収はほぼ不可能といっていいでしょう。
こういった場合には、1円も払ってもらえず泣き寝入りをするよりも、債務者にとって現実的に支払い可能な額を提示し、減額してでも回収を図っていく方が賢明な判断といえるでしょう。
相手が払えないと言ってきた場合の対処法
債務者からの慰謝料や養育費の支払いがストップした場合、債権者はどう対処すべきか、というのが次の問題になると考えられます。
当事者間のトラブルが発生しないことを考えても、上記のように減額などで対応し、任意に支払いを受ける、というのがベストの選択方法ではあります。もっとも、「そもそも話合いができない」場合には強制的に取り立てるしかありません。その方法が強制執行、ということになります。
当事者が金額や支払方法について合意しているのだから問題ない、というのは間違いで、実際に債務者の貯金や給料などに強制執行をかけるには債務名義、というものが必要です。 債務名義は具体的には、訴訟による判決、調停における調停調書、公正証書といった文書の準備が必要になります。
万全を期すのであれば、当該慰謝料や養育費の支払いに合意した際に公正証書を作成しておくべきですし、これがないような場合については、調停や訴訟の提起が必要になります。
慰謝料が免責対象になる場合もある?
慰謝料や養育費は原則として非免責債権ではあります。
もっとも、どのような場合においても非免責債権として扱われるか、というとそうではありません。
これまでお伝えした通り、これらの債権が非免責債権とされる趣旨は、債権者の生活を保護することにあります。そのため、その趣旨に見合わない慰謝料については非免責債権となりません。
たとえば、夫が不倫したことについての妻の精神的苦痛についての慰謝料は、その趣旨が妻の精神的苦痛の慰謝であり、妻の生活の維持ではありませんので、非免責債権とはならない可能性が高い、ということになります。
もっとも、これらの最終的な判断を下すのは、裁判所が選任する破産管財人であり、ケースバイケースの判断になることには注意が必要です。
- 非免責債権とは?
- 「非免責債権」とは、免責許可決定によっても免責されることのない破産債権を指します。たとえば、税金を滞納した場合です。これを自己破産によって免責してしまうと、国や地方自治体などの運営が成り立ちません。他に、離婚して親権を失った親が支払う子供の養育費も免責されません。これは養育費が子供の福祉という観点で設けられている請求権だからです。
自己破産をすると損害賠償金は免除されるのか
自己破産の中には、免責させることが世間一般の感情や倫理の面から不適当とされるような性質の債務もあります。それが「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」です。
誤解してはならないのは、損害賠償請求権=免責されない、ではないということです。(免責されるものの方がはるかに多い)
「悪意」で加えた不法行為の範囲
上記のように「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」は免責されないことになっています。破産法でいうところの「非免責債権(債権の性質上免責することが適当ではないもの)」のことです。
通常、法律的に記述した場合の「悪意」とは「知っていること」、「善意」とは「知らないこと」を意味します。 しかし、損害賠償を表現する場合は少し意味が異なってきます。「悪意」と言った場合は「怪我をさせてやろう」といったように積極的に害する意思を持って行為をしたというニュアンスになります。
たとえば交通事故の事例などでは、結果的に不注意、過失等で相手を傷つけてしまったとしても、ここに「悪意」を認められることはほとんどありません。あえて交通事故が悪意になるとすれば、被害者を怪我させる意図で車で追いかけまわし跳ね飛ばしたなど、相当悪質性が高いケースしか該当しません。
相手に自己破産されたらどうする?賠償金をもらうには
もし、交通事故の加害者が自己破産し、結果的に損害賠償責任や罰金を免れてしまった場合はどうすればよいでしょうか?この場合、被害者が加害者に内容証明などで請求書を送っても免責を受けていることを理由に拒まれる可能性が高くなります。
その場合は、裁判を起こして「免責が相当だったのかどうか?」を徹底的に争う方法があります。ただし、免責をひっくり返せるかどうかはケースバイケースとなります。
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2018.03.08 公開