「自己破産をすると官報に掲載されるって本当?」
「友人や周囲の人に自己破産をしたことがバレたくない…」
自己破産をすると個人情報が官報に掲載されてしまいます。 では官報によって自己破産が会社や家族・友人に知られてしまうリスクはどれくらいなのでしょうか?
このページでは
- 官報に掲載されても自己破産したことがバレにくい理由
- 官報を閲覧する方法や掲載期間
についてご説明します。
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2021.08.14 更新
「自己破産をすると官報に掲載されるって本当?」
「友人や周囲の人に自己破産をしたことがバレたくない…」
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目次
官報の存在は知っていても、実際に見たことがないという人は少なくありません。そもそも、官報はなんのために誰が発行しているのでしょうか。
官報は日本国政府(内閣府)の発行で、独立行政法人国立印刷局が編集し印刷製造している国の機関紙です。
機関紙といえば、政党や各種団体の新聞タイプのものが思い浮かぶところですが、官報と他の機関紙とでは根本的に異なる点があります。
その違いとは、国の機関紙である官報は、特定の主義主張を展開したり、一部の団体や個人の利益を図ったりする手段ではないということです。
また、国や政府の宣伝を行うツールでもありません。
官報が発行されている理由は、法令の公布や告示、官庁の報告などの重要事項を広く国民に知らせるためです。しかし、現実には官報で国の重要事項を確認している国民はほぼいないでしょう。
官報に掲載される主な事項の例は以下のとおりです。
告示 | 各省庁からの告示として、法令に基づく届出や、法令により各大臣が定める事項の変更などが掲載されています。(農林水産省告示、国家公安委員会告示など) |
---|---|
官庁報告 | 公聴会開催の公示や各種決定事項など各省庁からの報告が掲載されています。 |
公告 | たばこ小売価格の認可や各種営業停止命令など省庁が行った処分などに加え、裁判所が行った各種手続に関する事項、民間会社による合併に関する事柄などが掲載されています。 |
自己破産をする場合に気になるのが、官報に掲載される裁判所の各種手続きに関する事柄です。このなかに自己破産が含まれるかどうかですが、結論としては含まれています。自己破産と官報とは切っても切れない関係があります。
実は、官報の紙面のかなりの部分を占めているのが破産事件です。裁判所の公告としては、他に失踪事件や再生事件なども掲載されていますが、なかでも破産が多くなっています。官報を見れば、自己破産する人の数が多いことがわかります。
自己破産したときに、自分の個人情報がどこまで官報に記載されるのかは関心のあるところです。
個人の特定が可能なこの2項目は確実に載ります。財産と呼べるものがなく、管財人を付けて破産手続するまでもない事件(同時廃止事件)の場合、以下の項目が公告に入ります。
項目 | 記載される内容 |
---|---|
事件番号 | 平成〇〇年(フ)第〇〇〇号 |
住所 | 細かく記載されます |
氏名 | 債務者 〇〇 〇〇 |
決定年月日時 | 平成○○年○月○日午後○時 |
決定の内容等 | 主文・理由の要旨・免責意見申述期間 |
裁判所名 | ○○地方裁判所民事第○部(裁判所によって異なります) |
※実際の官報は上記のような表形式ではなく、項目欄もありません。
氏名には本名に加えて俗称が付記されることがあります。また、住居の名称に公務員宿舎など職業が推測できる言葉が入っている場合でも、そのまま記載されます。
主文は破産手続の開始と廃止を宣するものであり、理由の要旨は、廃止が破産手続費用を出せるほどの財産がないためだというものです。
また、免責意見申述期間とは、実質的に「借金をゼロにすることに対して」債権者が異議を唱えることができる期間をいいます。この期間は、概ね2ヶ月足らずが多いようです。
このように、官報にはどこの誰が破産したかがわかる範囲の個人情報が掲載されます。そのため、この点においてデメリットを感じる人もいます。
ちなみに、同時廃止事件の公告の表題は、「破産手続開始・破産手続廃止及び免責許可申立てに関する意見申述期間」です。
自己破産で財産がある管財事件の公告は、同時廃止事件の前にある「破産手続開始及び免責許可申立てに関する意見申述期間」に掲載されます。以下は管財事件の掲載項目です。
項目 | 記載される内容 |
---|---|
事件番号 | 平成○○年(フ)第○○○○号 |
住所 | 細かく記載されます |
氏名 | 債務者 ○○ ○○ |
決定年月日時 | 平成○○年○月○日午後○時 |
決定の内容 | 主文・破産管財人 弁護士 ○○ ○○・破産債権の届出期間・財産状況報告集会等(いわゆる債権者集会)の期日・免責意見申述期間 |
裁判所名 | ○○地方裁判所○○支部破産係(裁判所によって異なります) |
管財事件の主文には、破産手続開始の旨だけが記載されます。また、破産者に財産があることが前提となっているため、破産者に対して債務のある者などへの注意事項として、弁済等をしないようにとの一文があります。
自己破産のデメリットは、官報に掲載されることもありますが、破産そのものによる制限もあります。
自己破産の申立てを行うことで、裁判所からの通知を受けた債権者からの取立てが止まります。免責が認められれば借金を支払う法的な義務が消えるというメリットが何よりも大きいです。
例外的に破産者となった場合にデメリットが大きいことがあります。弁護士や行政書士、税理士などの士業と呼ばれる職業や、警備員、特定保険募集人などの一部の職業において、破産者であることが欠格事由になっています。(一定期間その職業に就くことができない)
免責を得るなどすれば「復権」して破産者ではなくなりますが、短期間でも職に就けないことは大きなデメリットとなり得ます。
自己破産をすると個人信用情報機関に登録されます。これによって、貸金業者はもちろんのこと、金融機関からもまず借入ができなくなります。
最長で10年程登録が残るため、その間は住宅ローンを利用して住宅を購入することも難しいでしょう。
しかし、自己破産をする状況を考えれば、必ずしもデメリットとはいえないかもしれません。
官報に掲載される情報から、自己破産が周囲に知られる可能性があるのは事実です。
官報を定期的に確認しているのは、例えば以下のような職業です。
さて、これまで官報を見たことがない人にとっては、どこに行けば見られるのかが大きな問題です。官報を見る方法は複数あります。
図書館(一部) | 国立国会図書館など官報を読める図書館が各地にあります。 |
---|---|
官報販売所 | 定期購読や一部購読が可能で、郵送でも申し込めます。 |
インターネット | パソコンなどで簡単に見ることができます。 |
官報には、新聞形式の原紙だけでなく冊子版になったものやインターネット公開されているものがあります。このうち、インターネット版の官報は、ネットに接続できる環境があれば簡単に見ることができるようになっています。
インターネットで官報を見ることができるようになっているため、自分の名前と破産などのキーワードで検索すれば、自己破産の情報が出てくるのではないかとの不安を持つかもしれません。
しかし、インターネット官報はPDFデータであり、個々の情報がすべて検索にヒットするものではありません。破産などの個人的な情報については、ネット検索結果に出す必要性がないものです。
したがって、単にグーグルなどの検索エンジンや官報検索サイトにかけるだけでは自己破産がばれることはほとんどないと考えてよいでしょう。
インターネット上で自己破産がばれるとすれば、自分が破産しているかどうかに狙いを定め、手間隙かけて調べる誰かがいた場合です。
この場合は、インターネット官報をほぼ毎日入念に調べることでばれてしまいます。
しかし、そこまでする動機があるとすれば、インターネット官報がなくても調べることが考えられます。
官報を定期的に購読しているのは一部の職業であるケースがほとんどです。
しかし、「破産者マップ」という、官報を参考に破産した方の情報を掲載したサイトが公開されました。
個人情報保護法では「個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。(第十六条)」と定められています。
そのため政府の個人情報保護委員会は事業者に対して、サイトの運営停止を求める命令を出しました。(出典:「破産した人の個人情報 違法に公開 サイトの停止求める初の命令」)
官報は政府が発行する国の機関紙であり、その原点は紙媒体です。一般の新聞と同様に印刷して発行・配布されたものは物理的に消滅するまで残ります。印刷してある情報が一定期間後に抹消されるということはあり得ず、いつまで残るかは誰にも予測できません。
つまり、官報の掲載期間は半永久的なものです。
一方、インターネット官報には閲覧可能な期間が存在しています。2017年10月時点で、国立印刷局のインターネット官報サイトでは直近30日の間に発行された官報をすべて無料で閲覧することができます。
ただし、30日といっても行政機関の休日には発行されないため、それを除いた日数分の閲覧が可能となっており、直近の30号分が閲覧できるわけではありません。
また、30日を超える一定期間分の法令や政府調達に関する部分だけを無料で見ることができますが、破産など裁判所の公告は対象になっていません。
これとは別に、直近30日よりも前の自己破産に関する情報を閲覧する方法として、有料サービスの官報情報検索サービスがあります。このサービスを利用すれば、昭和22年5月3日分からの官報の内容を検索することができます。
インターネット官報は一定期間情報を掲載するサイトではなく、あくまでも日々発行される「その日の官報」のインターネット版です。そのため、掲載期間という概念はないのです。
自己破産の事実が公告された官報も、30日経てば無料のインターネット官報では見られなくなります。
しかし、自己破産の事実が官報に掲載される回数は1回だけではありません。同時廃止事件となったときは、最初の掲載と免責許可の決定による掲載の2回掲載されることになります。
また、管財事件になったときも、特に問題がなければ「破産手続終結及び免責許可決定」とあわせて2回の掲載となります。
官報に掲載されるデメリットのある自己破産ですが、もちろんメリットもあります。
自己破産について疑問がある方は、弁護士に相談することによってわかることもあるでしょう。
自分ひとりでは、自己破産の選択が妥当かどうかの判断に迷うことがあります。しかし、弁護士に相談することで適切なアドバイスを受けることができるでしょう。
また、自己破産ではない解決方法の選択となる場合でも、適した手段について助言を得られることがメリットの一つです。
利息制限法で引き直した結果、分割での返済が可能な場合や、住宅ローン支払い中のマイホームを残したい場合、職業が自己破産による欠格に該当する場合などが、それにあたります。
さらに、弁護士に自己破産手続を依頼し受任通知を発送することで貸金業者などからの督促がなくなります。
自己破産の申立ては簡単な手続ではありません。用意する書類などの数が多いことに加え、円滑に免責決定を得るためには、裁判所が納得する中身を整える必要があります。
本人申立てで困るのは、不備が多く先に進まないことと、的確な準備ができないことです。また、裁判所による扱いの違いもありますが、経験豊富な弁護士に依頼すれば、こうした問題で悩む必要がなくなります。
さらに、弁護士が代理する自己破産に限り、本人申立てより有利な取扱いで時間的短縮や費用負担の軽減を図る裁判所もあります。
【有利な取扱いの例】
即日面接 | 申立ての当日または3日以内に破産手続開始決定がなされる |
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少額管財 | 管財事件より簡素化されて費用と時間の節約になる |
自己破産の相談を無料で行っている弁護士事務所もありますので、まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか?
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2017.12.18 公開