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借金を返さないのは詐欺?罪に問われるケースや正しい対処を解説

2022.02.03 更新

借金を返済しないのは詐欺行為なので、自己破産はできない
借金を返さないなら詐欺罪で訴える

このように直接ではなくとも、債権者から似たようなニュアンスの言葉でをいわれた経験はないでしょうか?

借金を返せていないことに負い目もあるだけに、「詐欺」や「裁判」といった言葉に不安を感じてしまうことでしょう。

借金を返済しないことが詐欺にあたるかどうかはケースバイケースです。場合によっては、そのつもりはなくても詐欺の疑いをかけられてしまう可能性もあるので注意しなければなりません。

この記事では、「借金を返さないのは詐欺にあたるのか」について解説していきます。

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この記事のポイント

詐欺でできてしまった借金が苦しい場合、弁護士や司法書士に相談してみるのも選択肢の一つ!

詐欺によってできた借金は、他人からの指示で借金をしたということを証明する書類がある場合は返済義務を免れることができる場合がありますが、このような書類があることは通常考えにくいです。
借金の名義が詐欺被害者の名義の場合は残念ながら返済しなくてはなりません。
借金の返済が苦しいのであれば、弁護士・司法書士に相談をして、あなたに合った返済方法を提案してもらうのも方法の一つです。

借金を返済できなくても詐欺罪にはならない

原則として、「借金を返せない」だけで詐欺罪に問われる可能性はありません。
刑事責任について定めた刑法において詐欺罪は以下のように規定されています。

人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
e-Gov:刑法第246条より

では、借金返済と詐欺罪についてさらに細かく見ていきましょう。

「詐欺罪に問える」という主張は正しいか

一般的に起こり得る債務不履行のトラブルに警察が介入することはないので、逮捕される可能性もないと覚えておきましょう。

また、「まわし」や「自転車操業」と呼ばれる借金返済のために借金をする行為について、債権者によっては

「多重債務状態で返せないと分かっているのに何度も借り入れをしているから、訴えれば詐欺罪に問える」

と通告してくることがあります。

しかし契約時に債権者は審査を行っています

つまり多重債務である状況を知りながら貸付けを決めているので、詐欺罪になることはありません。

詐欺罪が成立するための条件とは

詐欺罪の成立には、以下の4つの要件を満たす必要があります。

欺罔行為:加害者が人をだますこと
錯誤:加害者の欺罔行為によって被害者がだまされること
処分行為:被害者が加害者に財物を交付や処分すること
占有移転(利益の移転):加害者が交付された財物を受け取ること

詐欺罪の成立においては、「人をだまして利益を得る」という点が重要となります。
そのため「当初返すつもりはあったが、諸事情により返済ができない」という状態は詐欺罪にあたりません。

「民事事件」と「刑事事件」の違い

裁判になる事件の多くは、
・私人間の揉めごとを解決するための民事事件
・犯罪行為に関する揉めごとを解決するための刑事事件
の2つに分けられます。
借金に関するトラブルも、このいずれかになることがほとんどです。

債務不履行は民法の「債務不履行の責任等」で規制されており、債権者と債務者間の契約違反ではあるものの犯罪ではありません。

債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
e-Gov:民法第415条より

債務者と債権者の私人間のもめごと、すなわち民事事件となるため、訴えられた場合も民事裁判で「債権の有無」「債務の金額」「損害賠償額」「返済方法」などを決定することになります。

一方で、詐欺行為は刑法第246条に反する犯罪行為であり刑事事件として扱われ、刑事裁判によって「有罪か無罪か」「罰金や懲役などの刑罰」などを決めることになります。

借金滞納が詐欺罪にあたるケースとは?

返済の意志を持って借金をした場合、返済が滞ってしまっても詐欺罪として扱われることはないとご説明しました。

しかし、前の章で触れた「欺罔行為」にあたる行為があれば話は別です。以下のようなケースでは、詐欺罪として問われる可能性があるため注意しましょう。

ケース1:身分を偽って借り入れを受ける

無職にもかかわらず正社員と偽るなど、返済の目途が立たないにもかかわらず身分を偽って借り入れを行った場合、「最初から返済の意志がなかった」と判断され詐欺罪に問われる可能性があります。

また、「他人に成りすます」「前職の経歴を偽る」などをして借り入れを行った場合も同様です。借り入れを行う際に交わす契約書などに虚偽の情報を書いてしまうと、「有印私文書偽造」にあたります。

ただし、仮にあなたが申し込みの際に、虚偽の記載をすれば審査の時点でバレる可能性が高く、そもそも借り入れができないはずです。

ケース2:目的を偽って借り入れを受ける

「事業資金という名目で借りたお金を私的に使った」など、目的を偽って借り入れを受けた場合も詐欺行為として扱われます。

また、事業資金と偽って借り入れを受けていた場合には発覚を防ぐために帳簿の改ざんを行う必要もあり、詐欺とは別に「脱税」や「文書偽造」などの罪に問われる可能性も高そうです。

ケース3:債務整理直前に借り入れを受ける

債務整理直前や債務整理依頼後に借り入れを受けることは、最初から返済の意志がないと判断されて詐欺行為となる可能性が非常に高くなります。

ケース4:嘘をついて支払い義務を免除してもらう

詐欺罪は金銭の授受など財物のみが対象というわけではありません。

例えば「病気にかかってしまい借金の返済が難しい」などと嘘をついて支払い義務を免除してもらった場合、金銭を受け取ったわけではありませんが、経済的な利益を得たとして詐欺罪に問われる可能性があります。

詐欺でなくても返済逃れは困難!借金を滞納するリスク

「借金が返済できなくても罪にはならない」とはいっても、借金から逃れられるというわけではありません。借金を滞納してしまうと、以下のようなリスクがあります。

  • 債権者から電話がくる、自宅に督促状が届く
  • 信用情報に傷がつく(ブラックリストに載る)
  • 内容証明郵便での一括請求
  • 裁判で財産が差押えされる

借金を滞納すると、最終的にすべての財産が差押えられます。この状態で自己解決する方法は自己破産しかないため、裁判を起こされる前に正しい対処をしておくことが大切です。

借金滞納のリスクについては以下の記事で詳しく解説しています。
借金を払えないとどうなる?裁判所から督促が来たときの対処法

借金問題で「裁判」を避ける方法とは?

裁判を避ける方法として、債務整理の一種である「任意整理」が挙げられます。

弁護士や司法書士など専門家に依頼をして任意整理を行うことには、以下のようなメリットがあります。

督促が止まる

任意整理を弁護士などに依頼すると、「受任通知」と呼ばれる書面が債権者へ送られます。それにより債権者から債務者へ直接連絡をすることが禁止されるため、督促が止まります。

将来利息がカットされる

任意整理で弁護士などに債権者と交渉をしてもらうと、それ以降に発生する利息をカットしてもらえる可能性が高くなります。

利息がカットされればトータルの返済額と毎月の負担額が減るため、借金を返済しやすくなります。

直接交渉する必要がなく成功しやすい

債権者との交渉は、依頼した弁護士や司法書士などが行ってくれます。そのため自分が交渉することはありません。

法律の専門家に依頼すれば、債務者自身で交渉するよりも有利な条件を実現できるかもしれません。

過払い金が発生していた場合は元金が減ることも

今までの支払いで「過払い金」が発生していた場合、元金を減らしたり借金自体を相殺したりすることが可能です。

任意整理のメリットやデメリット、手続きの流れなどは、以下の記事で詳しく解説しています。
任意整理とは?デメリットとその後の生活への影響を少なくするために

まとめ

通常、借金の返済が滞っているだけでは詐欺罪に問われることはありません。ただし、書類に虚偽の記載がある場合など「最初から返す意志がない」と判断された場合は詐欺罪に問われる可能性があるため注意が必要です。

また、詐欺罪に問われないとしても、借金を滞納したままにしておくことにはリスクがあることを理解しておかなければなりません。借金の返済で困っている場合は一人で悩まず、専門家へ相談することを検討しましょう。

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2017.11.23 公開

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