「ギャンブルがやめられず苦しんでいる…」
「ギャンブルで膨れ上がった借金、どうしたらいい…?」
パチンコやパチスロ、競馬、競輪などは、勝ったときの高揚感が忘れられず、クセになってしまうこともありますよね。
しかし、のめり込みすぎて借金をするようになってしまった…。こんな場合は「ギャンブル依存症」のおそれがあります。
ギャンブル依存症の状態で借金を始めると、そのまま多重債務や返済不能になる危険もあります。ギャンブル依存症は、WHO(世界保健機構)も認める精神疾患であり、病院や保健所などで治療を受けることも考えたほうがよいでしょう。
この記事では、ギャンブル依存症の特徴や相談先、ギャンブルが原因の借金問題を解決する方法について紹介します。
ご自身やご家族、恋人にギャンブル依存症の疑いがある場合は、早めに適切なアプローチを行いましょう。
もしかしたらあなたも…ギャンブル依存症の特徴とは?
ギャンブルにハマって自力では抜け出せない場合は「ギャンブル依存症」のおそれが高いといえます。
まずは、ギャンブル依存症による症状の特徴についてご説明します。
ギャンブル依存症とは、どんな状態?
「ギャンブル依存症」とは「パチンコやパチスロ、公営競技(競馬・競輪など)のような賭け事にのめり込むあまり、社会生活や日常生活に支障が生じている状態」を指します。
大きな損失が生じるとわかっていても「ギャンブルがしたい」という欲求を抑えられなくなるのが、ギャンブル依存症の特徴です。
負けて大金を失っても「負けを取り戻す」「次こそ勝てる」という根拠のない理由でギャンブルを続けるケースも珍しくありません。
2018年には、ギャンブル依存症などの対策を計画的に推進し、国民の健全な生活の確保を図る目的で「ギャンブル等依存症対策基本法」が制定されています。
ギャンブル依存症かも?という兆候とは
ギャンブル依存症になると、冷静な判断力や集中力が損なわれ、仕事や学業が疎かになる傾向があります。
ギャンブル依存症が深刻化すると、家族の幸せを考えず収入のほとんどをギャンブルにつぎ込んでしまったり、資金を作るために家財道具を無断で売ってしまうという例もあります。
日常生活の中では怒りや失望、欲求不満といった負の感情が生じ、その不快な感情をギャンブルで解消したいという衝動に支配される場合もあります。
軽い気持ちでギャンブルを始めたものの、いつしか深みにはまって歯止めがきかなくなる。このような傾向がある方、また家族や恋人や友人にそういった兆候が見受けられるという方は、十分な注意が必要です。
やめられないギャンブルへの向き合い方
依存症になると、パチンコなどのギャンブルに心を奪われて「常にギャンブルのことばかり考えている」という状態になります。
依存症は医学的定義において精神疾患と認められており、自力での解決は非常に困難といえるでしょう。
そういった状況で必要なのは「治療」です。
たとえ依存症になったとしても、さまざまな人の助けを借りながら治療を続けていけば、「ギャンブルに頼らない生き方」を取り戻すこともできるでしょう。
ギャンブル依存症は誰でも陥る可能性がある精神疾患なので、決して恥ずかしがる必要はありません。
自分だけで問題を抱え込むのではなく、早めに専門家へ相談するのが賢明です。
ギャンブル依存症の治療に有効な相談先とは?
ギャンブル依存症で自分をコントロールできない状態に陥っているのなら、生活への支障が大きくなる前に治療方法について専門機関や専門施設に相談してみましょう。
ギャンブル依存症に対応してくれる主な相談先は、次の通りです。
依存症専門の医療センター・病院・保健所
「独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター」や、各都道府県にある依存症専門病院でギャンブル依存症の専門治療が受けられます。
個々のケースに応じて地域の関連機関と連携をとりながら、必要な支援を提案してもらいましょう。
精神保健福祉センター
「心の健康の保持・向上」を目的として、各都道府県や政令都市に1ヶ所、東京都には3ヶ所設置されている施設です。
各種依存症などの精神医学的問題について、専門の職員が相談に乗ってくれます。
医師、看護師、精神保健福祉士、臨床心理技術者、作業療法士なども在籍しており、地域の医療機関や活動している自助グループなどの情報を得ることも可能です。
自助グループ・リハビリ施設
依存症の当事者同士が悩みを共有し、依存症からの脱却を目指している組織・施設があります。
今日では、ギャンブル依存症を専門としている自助グループやリハビリ施設も珍しくありません。代表的な自助グループに、「GA(ギャンブラーズ・アノニマス)」があります。
家族会・家族の自助グループ
ギャンブル依存症者を家族に持つ人同士が自主的に集まり、類似する立場や経験を多くの人と分かち合うことで知識を深め合います。
代表的な組織には「NPO法人ギャンブル依存症家族の会」や「ギャマノン」などがあります。
依存症の治療と同時に考えておきたい、借金問題の解決方法
ギャンブル依存症から抜け出すには、治療について専門家へ相談すると同時に、借金問題の解決方法についても考えていく必要があります。
続いて、ギャンブルで作った借金で生じるリスクや自力で返済できない場合の解決方法について解説します。
ギャンブルで作った借金をそのままにするリスク
パチンコなどのギャンブルによって作った借金を、そのままにしておくのは危険です。
貸金業者から借りた多額のお金を滞納すれば、遅延損害金(延滞利息)が増え、取り立ての電話や督促の郵便物が届くようになります。
滞納を放置すると、最終的に待っているのは強制執行による財産の差押さえです。
多額の借金を抱えた状態は、常に返済のことが頭から離れなくなり、想像以上に精神的負担が大きいといえます。
「仕事に集中できず会社に大きな損害を与えてしまう」「周囲の人に迷惑をかけたりしてしまう」「ギャンブル依存症の治療に専念できない」といったリスクも生じるでしょう。
自力で返済できない場合は「債務整理」の検討を
ギャンブル依存症の疑いがある人は、自力では返済できないほど借金を抱えているケースもあります。
複数の借金を重ねて「多重債務」の状態となり、本人だけでなく家族まで苦しめてしまうこともあるでしょう。
ギャンブル依存症を治療するのは医療の専門家ですが、借金による問題を解決できるのは弁護士や司法書士といった法律の専門家といえます。
「借金は地道に払っていくしかない」と考えるかもしれません。
しかし自力での返済が不可能な場合は「債務整理」という手続きによって、借金問題を解決することができるかもしれません。
債務整理には、解決方法の異なる3種類がある
「債務整理」とは、借金の減額や免除などを実現するための手続きや交渉のことです。
債務整理には、返済金額や収入状況などによって「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類があります。
任意整理
債務整理手続きの中で、最も利用されているのが「任意整理」です。
任意整理では、債権者との直接交渉によって将来的に発生する利息をカットし、借金の減額や支払い額などの交渉を行います。
減額幅は3つのなかで最も小さいものの、裁判ではなく話し合いによる解決を目指していくため、家族などに知られずに手続きを進めやすい方法といえます。
個人再生
「個人再生」は任意整理よりも借金の減額幅が大きく、10分の1から5分の1程度にまで借金を減額できる手続きです。
返済期間は3~5年に設定され、財産を処分することなく計画的に返済を継続できる点が大きなメリットです。
自己破産
「自己破産」は、裁判所に認められればすべての借金がゼロになる債務整理手続きです。収入がない場合にも自己破産を検討することになるでしょう。
自己破産をすると高額財産が差し押さえられたり、一部就業できない職業があったりするデメリットがありますが、定職に就いていない無職の方や生活保護受給者でも申請できます。
ただし、いずれか債務整理手続きを行うと、信用情報機関に事故情報が登録されて「ブラックリストに載った」の状況になります。そうなると少なくとも5年〜10年程度はクレジットカードやローンの利用・新規借り入れができなくなります。
しかし「新たな借金ができない」ということは「借金に頼ることのない生活をスタートさせる」という考え方もでき、むしろメリットといえるかもしれません。
ギャンブル依存症の方が専門家に相談して解決した事例
ギャンブル依存症と自覚しても、専門家へ相談し時間をかけて治療していけば、その症状を少しずつ緩和できるでしょう。
ここでは、ギャンブル依存症の方が法律の専門家への相談を通して借金問題を解決した事例をご紹介します。
任意整理で100万円の借金問題を解決した事例 ~Aさん(男性)の場合~
初めて職場の同僚と行ったパチンコで3万円を稼げたことがきっかけとなり、平日は週3回、土日は必ずパチンコ店に通うようになりました。その後、仕事でミスが多くなり、クビになりますが、それでもパチンコをやめなかったため、借金総額が100万円を超えるようになりました。
その時点で、家族のすすめもあり、ギャンブル依存症の方が多く集う自助グループに参加して精神疾病の治療に専念しました。ギャンブルで作った借金について弁護士さんに相談すると、取り立てに関してはすぐに止める手続きをしてくれました。
借金の総額が100万円で、自分で返済できる範囲だったため、弁護士さんと相談して任意整理で解決することに決めました。もう2度とパチンコには行きません。
自己破産で1,000万円の借金が全額免除になった事例 ~Bさん(男性)の場合~
私がパチンコを始めたのは26歳の頃です。仕事場近くにパチンコ店があったので、ある日なんとなく寄ってみました。5,000円があっという間になくなりましたが、心のなかに悪い感情が芽生え始めたのを今でも覚えています。それから、何度も「パチンコには行かない」と決心しても、時間に余裕ができると我慢できなくなっていました。
精神状態がおかしくなり、その様子に気がついた妻に「ギャンブラーズ・アノニマス」と呼ばれるギャンブル依存症を克服するための団体へ通うように説得され、行くことを決意しました。
それから1,000万円もの借金問題を解決するため、弁護士事務所に相談して自己破産手続きを行いました。積極的に治療を続けるうちに自分の異常性に気がつき、パチンコに魅力を感じることはすっかりなくなりました。借金も全額免除となり、今は幸せに日常生活を送れています。
この事例のように、法律の専門家に相談することで借金を解決できる場合もあります。
ギャンブル依存症の治療では、専門家の力を借りよう
ギャンブル依存症は再発率が高い精神疾患といわれていますが、諦めずに治療していくことが大切です。
また、これ以上借金の総額を増やさないためにも、治療と同時に借金問題を解決していくことも考えるとよいでしょう。
ギャンブル依存症を改善するためには専門の病院や精神保健福祉センター、自助グループなどに症状を相談してみましょう。
そして借金問題を解決するためには、弁護士や司法書士など法律専門家にアドバイスを仰いでみましょう。よりよい解決方法を知ることができ、新しい生活を踏み出すきっかけになる可能性があります。